うつ病の傾向と症状

受験・進学が原因のうつ病

ケーススタディ1
周囲の期待に応えられずうつ病になったA君・15歳

■失恋をきっかけに成績が下がる

中学生のA君は、幼いころから誰が見ても優等生でした。テストはいつも、学年のベスト3に入るほど成績優秀です。親はもちろん、教師もA君の将来を期待していました。
ところが、ある時から突然、成績が下がり始めます。同級生の女の子に失恋して落ち込み、勉強が手に付かなくなったからです。

■志望高は無理だと言われて

成績が下がったA君は焦り、親や教師の期待に応えるためにも、立ち直らなければと思いました。しかし、一度下がった成績はなかなか上がりません。志望していた高校に合格は無理だと、とうとう担任に言われてしまいます。
A君はこの言葉にショックを受け、すっかり勉強する意欲をなくしました。それ以来、精神的な安定を失い、学校にも行かなくなりました。

ケーススタディ2
大学受験に失敗し、精神的に追い込まれたYさん・18歳

■一流大学に入れという親のプレッシャー

Yさんは小さいころから、「良い人生を歩むには一流大学に入らなくてはダメだ」と親にプレッシャーをかけられていました。一流大学に入らないと親も悲しませるし自分の人生も終わってしまう、と思ったYさんは、朝5時から深夜2時まで、食事も睡眠も削って猛勉強しました。ところが、成績は上がるどころか下がる一方です。

■自分は生きる価値のない人間

そんな中、友人がどんどん成績を上げ、希望大学の射程圏内に入ったと喜ぶ姿を目にしてしまいます。その日から布団に入っても眠れなくなりました。些細な生活音にイライラするようになりました。食事も喉を通りません。
精神的に不安定なまま、なんとか受験しましたが、結果はやはり不合格。一流大学に入れない自分は、これ以上生きている価値のない人間だと思うようになりました。

初めて人生の岐路を経験する「受験」というイベント

●原因

中高生にとって、受験や進学はうつ病の原因となりやすい要素の一つです。心身ともに成長過程にあるため、ほんの些細なことでも本人にとっては大きなショックになり得ます。
特に、受験を控えている場合は「落ちたら、人生が大きく変わってしまうかもしれない」という不安を感じながら毎日勉強しなければなりません。そのため、親や教師からの過度な期待や劣等感、受験期間に起こるさまざまなストレスが原因となり、うつ病を発症すると考えられています。

●症状

受験生活のストレスから、さまざまな心身症状が現れます。次のような症状に心当たりがあれば注意が必要です。

  • 睡眠不足になる
  • 食欲不振または過食になる
  • 虚脱感がある
  • 記憶力や集中力が低下する
  • 死にたいと思う
  • 絶望感が強くなる
  • イライラする
  • すぐに怒りを爆発させる
  • 自分には価値がないと思う
  • 自分が生きていることに罪悪感を覚える
  • 勉強しているのに成績が落ちる
  • 家族や友人と距離を置くようになる

●対策

受験や進学によるうつを防ぐためには、十分な睡眠をとりましょう。年齢によって異なりますが、7~9時間は睡眠時間を確保してください。脳内では夜10時~2時の間に体の成長を促す大切なホルモンが分泌されます。疲労回復や意欲向上、心の安定にも欠かせない物質ですので、成長ホルモンの恩恵を受けるためにも、早寝早起きを心がけてください。

また、辛いことや苦しいことがあれば、溜め込まず、誰かに話してみましょう。受験勉強中はどんな時間も無駄にしたくないと思いがちですが、おしゃべりは決して時間を無駄に過ごすことではありません。気持ちを落ち着かせる作用をもたらすことがあります。愚痴や弱音を誰かに聞いてもらうことで心が楽になり、頑張ろうという気持ちになることもあります。