うつ病の傾向と症状

リストラうつ

ケーススタディ1
仕事への熱意を失ったJさん・32歳

■経験が生かせない部署に異動させられて

電気機器メーカーに勤めるJさんは、自分は優秀で、仕事がよくできると思っていました。バリバリ仕事をこなし、社内の留学制度を活用してアメリカのビジネススクールに留学するほど、会社からも将来を嘱望されていたのです。帰国後は海外で学んだことや人脈を仕事で生かそうと張り切っていました。
ところが、リーマン・ショック以降、会社の業績は悪化。Jさんにとっては、これまでの経験が生かせる職場とはとても言い難い部署に突然異動させられたのです。

■“誰にでもできる仕事”にやる気を失う

プライドの高いJさんにとって“誰にでもできる仕事”をやらされる毎日は屈辱でした。会社に貢献してきたはずの自分が、なぜこんな立場に追いやられるのかとJさんは悩みました。
異動になった日から眠れなくなり、次第に虚脱感に見舞われました。そして、仕事への熱意も失いかけたころ、リストラを宣告されたのです。Jさんは、生きていても無意味だと思うようになりました。

ケーススタディ2
ストレスが極限に達して蒸発したNさん・52歳

■左遷されても辞められず

Nさんは食品会社に勤める管理職です。ライバル企業との競争が激しくなって業績が悪化したため、会社はリストラを始めました。しかし、まじめにやってきた自負があるNさんは自分がリストラの対象になるわけがないと考えていました。するとある日、関連会社の役員として出向を命じられたのです。それは左遷に等しいものでした。
しかし、子ども達は受験を控え、教育費がかかることがわかっています。住宅ローンもありました。何が何でもリストラされるわけにはいかないNさんは、新天地で頑張ることにしました。

■何もかも信じられなくなって失踪

ところが、いくら売上を上げても、「まだ売上が足りない」と会社はプレッシャーをかけてきました。実は、本社は、業績不振を理由にNさんを解雇するつもりだったのです。その事実を知ったNさんは、何もかもが信じられなくなり、一気にやる気がなくなりました。
ストレスが極限に達したNさんは、毎朝激しい頭痛や吐き気に見舞われるようになります。そしてある日、家を飛び出して失踪してしまいました。

自分の仕事がなくなるという計り知れないストレス

●原因

業績不振による配置転換や転勤、関連会社への出向といったさまざまなストレス要因がサラリーマンを取り巻いています。中でも最大のストレスはリストラによる解雇です。長年属してきた会社から放り出されたことによるショックは大きく、新しい職を探しても見つからない状況は精神的な混乱を招きます。生真面目で責任感の強い人ほど、仕事上の喪失体験がより大きなストレスになり、うつ病を発症しやすいのです。

●症状

誇りを持って続けてきた仕事を奪われ、経済的な基盤がなくなると、家庭での立場も危うくなる場合があります。このようないくつかの喪失感が、自分を追いつめてしまうため、次のような症状が現れたら注意しましょう。

  • 眠れない
  • ひどく疲れる
  • 寝起きが悪い
  • 全身の倦怠感が強い
  • 不安感がある
  • 頭痛や吐き気がある
  • 飲酒量が増える
  • 食欲がなくなる
  • 死にたいと思う

●対策

一番大切なのは、会社や仕事ではなく、自分の心と体です。日ごろから会社に対する精神的距離感を保ち、会社以外の居場所を確保しておきましょう。家庭内でのコミュニケーションを増やし、仕事以外の人間関係を広げておくことが大切です。疲れたときはしっかり休み、打ち込める趣味などを持つなど、自分なりのストレス解消法を見つけておきましょう。