うつ病の傾向と症状

小中学生のうつ病

ケーススタディ1
いじめが原因で自殺を図ったK君・9歳

小学校3年生のK君は一人っ子です。父親、母親との3人暮らしで、優しい父親はK君を溺愛し、これまで一度も怒ったことがない人です。一方、母親は教育にとても熱心で、K君を塾に通わせ、他にいくつもの習い事をさせていました。
そんな環境で育ったため、K君は親の言うことを素直に聞く典型的な“いい子”になりました。ところが、勉強はできたものの運動が苦手。性格も内向的であったため、いつしかクラスでいじめの対象になりました。

■いじめられていることを親に言えず、追いつめられて…

クラスメイトからのいじめはだんだんエスカレートしていきました。しかし、親を心配させてはいけないと思ったK君は、いじめられていることを親には言えません。兄弟や相談できる友達もおらず、先生に相談することもいじめがエスカレートすることを恐れてできない、そんな状況でした。
追いつめられたK君は、ある日、とうとう自分の部屋で自殺を図ります。幸い父親がすぐに発見し、未遂に終わりました。

ケーススタディ2
不登校、ひきこもりになったSさん・13歳

■娘のサインに気付く余裕のない両親

中学1年生のSさんは、父親の転勤に伴い、小さいころから引っ越し・転校を繰り返す家庭環境にありました。新しい学校での生活が始まって間もなくすると、「気分が悪い」「頭が痛い」と言ってはたびたび学校を休むようになりました。
Sさんは体の不調を訴えましたが、母親は近所の人間関係になじもうと必死で、娘の出すサインに気付きませんでした。父親も新たな職場でますます忙しくなり、家庭を顧みる余裕がありませんでした。二人とも娘のことを気にかける余裕がなかったのです。

■方言をかわかわれ、友達ができずに孤立

実はSさんには方言がありました。そのことでクラスメイトにからかわれ、友達もできずに孤立していたのです。両親にも相談できず一人悩んだSさんは、やがて心のバランスを失っていきます。
娘の変化にようやく母親が気付きましたが、何を尋ねてもSさんは答えません。次第に不登校になり、やがて自分の部屋から一歩も出なくなり、引きこもりの状態になりました。

いじめや環境の変化が原因となりやすい小中学生のうつ病

●原因

子共が発症するうつ病のうち、およそ75%が親子間や友人間、学校での心理的な問題が原因にあると言われています。両親の不仲や離婚、家族の死といった家庭環境の変化はもちろん、引っ越しなどによる生活環境の変化やいじめ、失恋などがきっかけで発症することが多いと言われています。
一方、うつ病になる原因は、必ずしも嫌なことばかりではありません。「志望校に入れた」「部活の部長に選ばれた」といった、外から見れば“良いこと”がきっかけで発症する場合もあります。

●症状

心身ともに発達過程にある子共は、心の状態をうまく表現できません。そのため、次のような体の症状を訴えることが多いです。

  • 頭が痛い
  • 気分が悪い
  • お腹が痛い
  • 吐き気がする
  • 食欲がない
  • 眠れない
  • めまいがする

また、次のような極端な反応が出る場合もあります。

  • イライラする
  • 怒りっぽくなる
  • 反抗的な態度をとる
  • 急に甘える
  • 不登校になる
  • 引きこもりになる

これらをうつ病のサインだと気付かず、仮病なのでは?と思いがちなので、注意が必要です。

 

●対策

心身ともに疲れきっている状態なので、まずはしっかり休ませることが大切です。学校や部活、塾や習い事などは休ませましょう。また、早めに下校させてもらうなどして、環境を整えてあげましょう。周囲の大人は「がんばれ」と励ますのではなく、温かく見守ることが重要です。なお、家族だけで悩まず、専門家に相談することも必ず視野に入れておきます。焦らず急かさず、ゆっくり治すことを考えましょう。