うつ病の傾向と症状

中間管理職のうつ病

ケーススタディ1
部下にバカにされたことで出社拒否になったGさん・50歳

■覚えられない自分がダメ人間に思えて

Gさんは建設会社の課長です。合理化の一環でペーパーレス化が推進され、ノートパソコンが各自に支給されました。スケジュール管理、伝票処理、プレゼン資料作成など、すべての業務がパソコンでの作業となり、Gさんの部署は全員、毎週月曜日にインストラクターからパソコンの講習を受けることになりました。
ところが、若い部下はどんどん新しいことを覚えて業務に活用していくものの、Gさんは覚えられません。何とか理解しようと必死に勉強しましたが、チンプンカンプンです。自分はコンピュータ社会に適応できないダメ人間だと感じました。

■会社に行くのが怖くなる

パソコンが使いこなせないGさんは、月曜日の職場が嫌で仕方がありません。日曜日の夕方はいつも憂うつでした。そんな中、ある日、「うちの課長、ぜんぜんパソコン使えなくて、ちょっと迷惑だよね」と部下たちが笑いながら話しているのを、Gさんは偶然聞いてしまったのです。
それをきっかけにGさんは会社に行くことが怖くなりました。朝起きると激しい頭痛がします。頑張って出社しようと電車に乗りましたが、会社の建物が見えた途端、足が動かなくなりました。そのまま家に引き返したGさんは、その日を境に会社に行けなくなったのです。

ケーススタディ2
リストラする側の立場に追い込まれたFさん・45歳

■職場環境が悪化しても頑張り続けて

Fさんは誰もがうらやむ大企業の管理職という立場にいました。ところが、不況により業績が悪化すると、上司からは毎日叱責され、部署内の人間関係も悪くなり、職場環境が激変したのです。リストラによる人員削減も始まりましたが、自分の職場を守りたい一心で、Fさんはサービス残業もいとわず頑張りました。ところがある日、さらなる人員削減を会社から求められたのです。

■一緒に頑張ってきた部下をリストラする側に

Fさんは管理職だったため、長年一緒に頑張ってきた部下をリストラしなければならない立場に追い込まれました。これ以上人員削減はできないとFさんは会社に掛け合いましたが、それをしないと倒産すると言われ、命令に従うしかありませんでした。
Fさんはその日を境に不眠症に。社内には最小限のスタッフしかいないため、誰にも仕事を頼めません。休暇もまともに取れなくなりました。
次第に自分自身に誇りを持てなくなり、仕事の意義も見いだせず、心のバランスを崩してしまいました。

努力で克服できない葛藤を生じやすい、中間管理職というポジション

●原因

日本人は、欧米人に比べて仕事に生きがいを感じる傾向が強いと言われています。そのため、仕事に関わるできごとが大きなストレスなると考えられています。
特に、上司と部下に挟まれ、人間関係のストレスが溜まりやすい40~50代は、子育てや介護といった家庭での責任が重くなる世代でもあるため、ストレス発散の場がなく、うつ病を発症しやすいのです。

●症状

強いストレスを感じることで自律神経のバランスが崩れ、次のような症状を訴える方が多く見られます。

  • 眠れない
  • 疲れがとれない
  • 倦怠感が強くなる
  • 朝になると激しい頭痛や吐き気に襲われる
  • 気力や集中力が低下する
  • 動悸やめまいがする
  • 自分に自信が持てなくなる
  • 遅刻や午前中に休むことが多くなる
  • 仕事でのちょっとした決断ができなくなる
  • つまらないミスが増える
  • 人付き合いがおっくうになる

●対策

自分にできないことがあったとしても、それは能力や人格を否定するわけではありません。頑張れば頑張るほどストレスを溜めることになるため、人に任せられる仕事は、割り切って任せるようにしましょう。また、適度に息抜きをすることも大切です。仕事以外の分野で夢中になれる趣味を見つけたり、活動範囲を広げたりして、変化のある休日を過ごすよう心がけましょう。