うつ病の傾向と症状

出産後・育児期の女性のうつ病

ケーススタディ1
子供を愛せず罪悪感を抱くAさん・25歳

■子供を心底かわいいと思えない

Aさんは3年前に“できちゃった結婚”で男の子を出産しました。しかし、未だに心底子共をかわいいと思ったことがありません。同じように子共を持つ友達を見ていると、とても楽しそうに育児をしているように思えました。
子共に対する接し方でわからないことがあると、Aさんなりにいろいろな育児本を読んで勉強しましたが、子共は自分の思うとおりになってくれません。

子供に泣かれたり、まとわりつかれたりすると、Aさんはとてもイライラしました。子供が自分の言うことを聞かないときにはカッとなって、手を上げてしまうことが何度もありました。しかし、そんなAさんを見ても、夫は何も言いません。
「子供をかわいいと思えない自分は母親失格なのではないか」とAさんは自分を責めました。そして、だんだん罪悪感を抱くようになり、うつ状態に陥りました。

ケーススタディ2
家事と育児に追われ、孤独になっていったTさん・30歳

■ストレスを感じても家事と育児に手を抜けず

Tさんは、一流企業に勤める夫と結婚し、経済的には何不自由ない生活を送っていました。ところが、子供が生まれると、家事と育児に追われて自分の自由時間がなくなりました。おまけに、同居の姑はあらゆ
ることに口うるさく、掃除の仕方が少しでも悪いと皮肉を言います。
Tさんはストレスを感じながらも、小言を言われないよう、あらゆることに気を配り、家事にも育児にも手を抜かず頑張りました。

■不満も愚痴も言えなくなって孤独に

そのうち、育児仲間だった友人が、子供を保育所に預けて働くようになりました。Tさんの周りには愚痴を言える人がいなくなりました。
仕事を始めた友人が生き生きして見えたので、自分も働いてみたいと、思い切って夫に話しました。しかし、夫は許してくれません。
不満も愚痴も言えなくなったTさんは、そのうち食欲もなくなり、不眠にも悩むようになりました。体力も落ちてふさぎこむようになり、とうとううつ病を発症したのです。

家族や周囲と協力し、完璧な家事や育児を求めないことがポイント

●原因

出産後はホルモンバランスが崩れやすくなるため、次のような要因がストレスとなり、うつ病を発症すると言われています。

  • 母親としての役割に対する戸惑いや不安
  • 経済的な問題
  • 夫やその家族との関係
  • 出産の経緯(望まれる出産だったかどうかなど)

●症状

育児によるストレスやプレッシャー、疲労などにより、次のような症状が多く見られます。

  • 眠れない
  • しっかり寝ても疲れが取れない
  • 些細なことでイライラする
  • 家族にイライラをぶつける
  • 家事をやる気が出ない
  • 激しい孤独感を感じる
  • 人と話すことが苦痛になる
  • 目がうつろになる
  • 思考能力が低下し、頭の中がパニックになる
  • 悲観的な考え方になる
  • 物事に対する関心や意欲が低下する
  • 無表情になる
  • ぼんやりとしていることが多くなる
  • 話しかけても反応が鈍くなる
  • 家の中に閉じこもりがちになる
  • 子供を虐待している自覚がある
  • 食べ過ぎる、または、反対に食欲がなくなる

●対策

育児をしていると、さまざまな負担や不安があります。しかし、それらを一人で抱え込まないようにすることが大切です。
自分の子供を他の子供と比べず、完璧な育児や家事を求めないようにしましょう。夫婦で協力して家事や育児を行うなど、辛いときは無理せず、家族や周囲のサポートを受けてください。自治体によっては、乳幼児のショートステイやヘルパー派遣といった子育て支援事業が行われています。そうした制度を積極的に活用することも重要です。