うつ病の傾向と症状

思春期のうつ病

ケーススタディ1

同級生の言葉をきっかけに摂食障害になったEさん・16歳

■母親のような女性にはなりたくない

高校1年生のEさんは、裕福な家庭環境で育った一人娘です。会社役員である父親は多忙でほとんど家にいないため、家庭の主導権は母親が握っていました。
母親はEさんが何をするにも口うるさく干渉し、娘の行動すべてを支配しようとする傾向がありました。そのため、母親のような女性には絶対なりたくないとEさんは心底思っていました。

■痩せたい一心で拒食に

ある日、同級生の男子から「デブ」とからかわれました。それをきっかけに、Eさんは極端に容姿にこだわるようになります。Eさんは誰から見ても普通の体型でしたが、母親は肥満体でした。

それからというもの、痩せたい一心で食事を摂らなくなりました。自分の行動にいちいち口を出してくる、太った母親のような女性にはなりたくないと思ったのです。

食事の時間になると「今勉強しているから、後で食べる」などと言い、家族と一緒に食事しなくなりました。また、たとえ食べたとしても吐き出してしまうのです。

ケーススタディ2
居場所がなくなり引きこもりになったD君・13歳

■完璧を求められて育つ

D君は厳格な家庭に育ちました。両親はともに教師で、父親は特に厳しい人でした。何事も完璧を求められたD君は、テストの点が少しでも悪いと、ひどく怒られました。
思春期になると体型が変化するのは当然なのですが、D君は同級生に比べて身長が伸びず、やや肥満体型になりました。生活習慣が悪い、心が弛んでいるからだと、体型の事を父親に罵られました。

■からかいがいじめにエスカレート

D君は頑張ってダイエットしましたが、すぐにリバウンドし、逆に体重が増えてしまいました。D君はクラスでもからかいのネタになり、「男のくせに胸がある」「おなかにタイヤをつけている」などと言われました。言葉はエスカレートし、やがていじめの対象になります。
家にも学校にも居場所がなくなったD君は、部屋に引きこもるようになりました。そんな息子の行動を認められない父親は、D君を強制的に引きずり出そうとしましたが、それが逆効果になり、かえってD君は頑なになっていきました。

思春期の心の不安定さを理解してあげる

●原因

思春期は何かと悩み、心が不安定な状態になりがちです。そのため、さまざまなストレスが原因でうつ病を発症します。小学校高学年からは勉強が難しくなりますし、友人関係も複雑になってきます。そのため、学校という限られた社会の中で友人関係がうまくいかないのは、大人が想像する以上に強いストレスなのです。
また、最近は、携帯電話やスマートフォンを片時も手放せなくなっています。それらによる睡眠リズムの乱れもうつ病の原因になると言われています。

●症状

基本的には成人と同じ症状が現れますが、次のような兆候も見られるため、注意が必要です。

  • 元気がない
  • イライラする
  • キレやすくなる
  • 朝になると腹痛や吐き気を訴える
  • 以前興味があったことに関心を示さなくなる
  • 無表情になる
  • 笑わなくなる
  • 勉強に集中できなくなる
  • 不登校になる
  • 引きこもりになる

●対策

日ごろから子供とよくコミュニケーションをとっておきましょう。過保護にならない程度に寄り添ってあげてください。子供の精神状態を悪化させている要因があれば、それらを取り除くよう環境を整えることが大切です。
ただし、思春期にうつ病となると慢性化しやすく、成人になってから再びうつ病を発症する可能性が高いと言われています。子供が明らかに苦痛を感じ、社会生活に支障が出ている場合には、すぐに医療機関を受診しましょう。