うつ基礎講座

初級 うつ病になりやすい人

うつ病になりやすい人

うつ病の発症要因には、人間関係のトラブルや仕事での失敗、過度のストレス、病気など、様々なものが挙げられます。
ですが、同じ条件を満たしていれば必ず誰もがうつ病を発症する、というわけではありません。発症要因はあくまできっかけに過ぎず、絶対的なものではありません。
では、うつ病になる人とそうではない人には、いったいどのような違いがあるのでしょうか。

性格

うつ病になりやすい人には、性格面で共通する部分が多いといわれています。
まず、真面目であること。真面目な人は、周囲の期待に応えようとして自分の限界を超えてまで頑張ろうとしてしまいがちです。車で例えれば、壊れる寸前までエンジンを力いっぱい回している状態です。上手くいっているうちは充実感や満足感で誤魔化すことができても、次第に身体や心がついていかなくなり、疲労感やストレスに支配されてしまいます。そうなると、健康でいるために必要なバランス感覚を欠いてしまい、うつ病を発症しやすくなります。
そういった点から、完璧主義者の人もうつ病になるリスクが高いといえます。完璧でなければ気が済まず、足りない部分を無理にでも補おうとしてしまう人は要注意です。適度に力を抜くことを覚えなければ、溜まった疲労やストレスに押しつぶされてしまいます。
また、うつ病になりやすい人は総じて自己表現が苦手な傾向が見られます。思ったことや感じたことを内側に閉じ込めてばかりで上手く発散することができないと、辛さや苦しみがストレスになってしまいます。
「どうして周囲の人は自分のことをわかってくれないんだろう」
と、よく思ってしまう人は要注意です。

こういった性格に共通しているのは、優先順位を自分でつけることが苦手、もしくは周りに合わせてしまっているという点です。周囲の評価や仕事の達成率などを判断基準にしてしまい、自分の身体や心に焦点があっていないため、自分の許容量以上にがむしゃらになってしまうのです。

うつ病が心配な人は、まず一度、自分の性格について客観的な視点から見つめなおす機会を作ってみましょう。頑張りすぎてしまっている、と思ったときには、少し肩の力を抜いてリラックスする時間を設けたり、それが難しい状況であればカウンセリングに通って不安を打ち明けてみてはいかがでしょうか。

気質

心理学・精神学用語に、「気質」というものがあります。これは、個人が後天的に獲得した性格とは異なり、元々備わっていた先天的な性質のことです。特定の刺激に対してどのような反応を示すのかは後天的にではなく先天的に決定されている、という考えが基礎になっています。
気質にはいくつかの大まかなカテゴリーがあり、うつ病になりやすい人は、このうちの3種類のいずれかに該当する傾向があるといわれています。
以下に、該当する気質の主な特徴をご紹介します。

循環気質
循環気質は、双極性のうつ病になりやすいといわれている気質です。循環とは、躁(ポジティブ)とうつ(ネガティブ)を行ったり来たりするという意味で、気分が高揚して明るくなったり、気分が塞いで沈み込んだりと精神状態は非常に不安定です。
性格的には、いたって社交的で活力のある人が当てはまります。ユーモアもあり、人との交流にも物怖じしません。しかし一方で、突然黙りこんだり、物思いにふけったり、悲観的になるなど正反対の一面も併せ持っています。
執着気質
執着気質は、生真面目で強い責任感があり、何事にも全力で向き合う気質です。完璧主義者の傾向が強く、足りないところがあると無理にでも補おうとしてしまいます。
約束したことは必ず守る、頼まれ事にはしっかり対応するなど誠実な一面のある気質ですが、それを自覚なく周囲にも求めてしまうため周りとのギャップに苦しむことも。大雑把ではいられないことが自分自身を追い込む原因になっていると気づいて、手を抜くことが許せない不器用さがあります。
メランコリー親和型気質
メランコリーとは、悲哀、憂うつなどを意味する英語で、親和とは相性の良いことや馴染みやすいことを意味する言葉です。メランコリー親和型気質とは、悲哀や憂うつなどネガティブな感情になりやすい気質のことをいいます。
周囲への気配りや気遣いを忘れない常識的な一面を持ち、和を重んじる気質です。しかし、それは他人からの評価が気になってしまうことの裏返しでもあります。問題が起きたときにはすべて自分の責任であると思い込みがちで、悲観的に物事を判断する傾向があります。

気質とうつ病の関係性

循環気質、執着気質、メランコリー親和型気質に当てはまる人は、心のバランスが崩れやすく、うつ病を発症するリスクが高いといわれています。
ですが、実際のところそれを裏付けるデータはなく、明確に関係があると立証されているわけではありません。循環気質や執着気質、メランコリー親和型気質の人でも、うつ病になることなく健康に生活をしている人は大勢います。
では、どうして気質とうつ病の関係性が取り沙汰されているのかというと、うつ病になる原因をはっきりさせておいた方が安心できるからです。原因がはっきりしている方が対処の道筋も立てやすく、治療に向けてのモチベーションにもつながります。
しかし、特定の気質に当てはまる人が必ずうつ病になる、またはうつ病になる可能性が高いとは限りません。あくまでも、うつ病になりやすい人を主観的に分類しただけに過ぎないのです。
そのため、自分がうつ病になりやすいとされている気質に該当するからといって、心配する必要はありません。逆に、該当しなかったからといって、絶対にうつ病ではないと安心することもできません。

大切なことは、今一度自分を客観的に見つめなおし、自分自身についての認識を改める機会を設けることです。性格分析や気質分析がうつ病を疑うきっかけになったのであれば、そこで決めつけたりせず、医療機関で受診しましょう。
カウンセリングで思っていることを打ち明ければ、専門家による適切なアドバイスがもらえたり、適切な治療方法、治療の必要性を判断してもらうことができます。