うつ基礎講座

上級 精神科と心療内科の違い

精神科と心療内科の違いについて

うつ病などについて調べていると、必ず目にするのがこの「心療内科」と「精神科」です。心の病気を診てくれる診療科であることは知られていても、何がどう違うのかまでは知らないという人も少なくありません。
今回は、心療内科と精神科の違いについてご紹介します。

心療内科

心療内科では、主に「心身症」の診断や治療を行います。
心身症とは、「身体疾患の中でも心理社会的な因子を持ち、器質的ないし機能的障害が認められる病態のことをいう」である、と日本心身医学会が1991年に定めました。
「器質的」というのは、器官に病変がみられ、直接的な異常が認められることを意味しています。例えば、ガンや腸閉塞などが該当します。主に胃カメラやレントゲンなどで異常が発見されます。
「機能的」は、器官に腫れや炎症が認められないものの、その器官の働きが妨げられてしまっていることを指します。
器質的、機能的、このどちらにも心理社会的因子(日常生活や心のありように関わるもの)が関係することがありますが、心身症においては特に機能的障害に当たる症状がよくみられます。
ストレスやプレッシャーなどで腸の動きが弱ってしまい、便通が乱れる「過敏性大腸炎」などが有名です。そのほかには、呼吸器に異常が見当たらないのに突然息苦しさに襲われ、呼吸が速くなる「過換気症候群」(俗に過呼吸とも呼ばれます)や、胃や食道は正常なのに吐き気や嘔吐、食欲不振などを引き起こす「神経性嘔吐症」などが心身症に該当します。
また、常識や身体のキャパシティを超えて食べ過ぎてしまう過食症や、ダイエット願望による拒食症も心身症に含まれます。

精神科

精神科では、主に「精神疾患」の診断や治療を行います。
精神疾患とは、不安やイライラ、抑うつ状態などの苦痛や異常を伴う心理的症状やそれに伴う行動を指します。
精神とは、すなわち「心の働き」のことです。このため、精神疾患は「心の病」とも呼ばれています。
近年、精神疾患を抱える方は急速に増えています。一般的に、社会全体の文明や規律、制度が成熟するにつれて、精神疾患を患っている人の数は増加する傾向にあるといわれています。
厚生労働省による調査によれば、平成23年度に精神疾患によって医療機関を受診した人の数は約320万人。平成14年に行われた同調査では約250万人でした。
ここ10年ほどで、70万人近くも精神疾患を患っている人の数が増えているのです。
ところが、精神疾患を患っている人の入院数はといえば、緩やかながら減少傾向にあるのです。これは、近年になって精神疾患の研究が進み、検査や治療法が確立されてきたことで、通院や投薬での治療が可能になったためと考えられています。医療は心の病気の克服に向けて着実に進歩しているのです。
とはいえ、まだ不明な点は多く、依然としてを患っている人の数きづが増加傾向にあることは否定できない事実です。
大うつ病や双極性うつ病、統合失調症など、近年耳にすることの多くなった心の病気が精神科の診療対象です。また、アルコールや薬物などの依存症、高齢者になってから見られる認知症なども精神疾患とされており、精神科で診断や治療を受けることができます。

総括すると、心療内科は過敏性大腸炎のように心で感じたストレスが身体に病気をもたらしたときの治療を行い、精神科はうつ病やパニック障害などの精神疾患を治療する科です。
診療所などで「心療内科」の看板を掲げているところがありますが、受診してみたところ「精神科」だった、という例もめずらしくありません。「精神科」という言葉自体が未だに広く受け入れられておらず、軽度の精神疾患の方が足を運びにくくなっているそうです。また「メンタルクリニック」という看板の精神科も増えてきています。これは「精神科、心療内科、神経科」という、心に関わる分野の診察を取り扱いますという総称であり、科の名前ではありません。

病院を選ぶときに気をつけたいこと

心身症や精神疾患を、ご自身やご家族の努力だけで治そうと考えることはおすすめできません。「心の問題」「気の持ちよう」という言葉で軽んじられてしまいがちですが、心も身体も、簡単に治らないという点では同じであるといえます。
不安に思うところがあれば、まずは一度、病院で受診すること大切です。病気について、医師から丁寧に説明を受けることができます。

以下では、心の病気を治療するときの病院選びのポイントについてご紹介します。

ホームページに、医師の経歴を掲載しているか
病院を利用する方にはあまり関係なさそうに見えますが、経歴は医師としての経験を間接的に知ることができる重要な情報です。小さい医院の場合、医院長の経歴から医院全体の雰囲気が判断できるといえます。
医師が話に耳を傾けてくれるか
うつ病の治療を進めていくにおいて、医師との信頼関係は重要になります。そのため、医師と信頼関係を結べるか否かも大切な点になります。病院を訪れて不安を抱えている人の話に耳を傾けず一方的に診断を下す医師はあまり信頼されません。症状が出てからのことだけでなく、それまでの経緯も治療に欠かせない情報です。きちんと質問をしてくれて、その上でこちらの身体や心についてもしっかりと配慮してくれる医師を選ぶことが大切です。
薬の効果や副作用を、わかりやすく説明してくれるか
投薬治療を行う場合、薬の効果や副作用を説明するのは医師の義務です。飲んでから効果が出るまでの時間や、併用が禁止されている薬の有無など、それぞれで異なります。それらの説明がないまま処方された薬は、飲む気になれませんよね。こちらが聞いたことに答えてくれることはもちろん、気付けないような細かなことまでしっかり説明してくれる、信頼できる医師を選ぶことが大切です。
短期間に薬を増やしたり、すぐ薬を変えたりしないか
治療方針をしっかり決めている医師ならば、このようなことはありません。薬の効果は飲み続けることで実感できますので、次々に薬を変えては意味がないからです。治療方針をしっかり決めてくれる医師を選びましょう。
治療による変化を尋ねてくれるか
症状によってはうつ病が双極性うつ病に変化することもあります。自分の変化に気付いたときはもちろん医師に相談しますが、医師から治療の効果を知るための質問をしてくるかということも大切です。

心身症や精神疾患の治療は、医師と共に行うものです。信頼できる医師を見つけて、より良い治療法を選びましょう。