うつ治療のいま

うつ治療の流れは?

治療の前に知っておくべきこと

うつ病の治療には時間がかかるのが一般的です。そして、直線的に一機によくなるのではなく、回復したり、悪化したりを繰り返しながら、徐々によくなっていくのも特徴的です。またいったん回復してからも再発するケースが非常に多く、再発予防治療が欠かせません。
うつ病治療は急性期、回復期、再発予防期の3段階の過程に分けて進められます。それぞれに薬の飲み方、気をつけるべき点が違いますので、ご本人も支援をするご家族も、そのことを理解して、病状に合わせた対応をする必要があります。
特に注意したいのが、薬は必ず医師の指示に従って飲むということです。うつ病に非常に効果のある三環系抗うつ薬の特徴は効果がでるまでに1~2週間かかるうえ、副作用だけはすぐに出るという困った特徴があります。それらを踏まえずに、「余計に悪くなった」と勝手に薬を止めてしまっては元も子もありません。また、投薬治療が功を奏して、だいぶよくなったからといって、勝手に薬を飲むのを止めてしまう人も多々います。一度飲み始めた薬を途中で止め、病状が悪化したからと再び飲み始めた場合、以前と同じ量や頻度では効かない場合が多いのです。つまり、勝手な判断で薬を中断することは、病状を悪化させているのに等しいとも言えます。薬が合わないと感じる、もうそろそろ薬を減らしてもいいのではないかと思う場合は、医師に相談し、その指示のもとに行うようにしてください。

治療の3ステップとその特徴

■急性期 〔診断~約3カ月〕

十分な休養をとりながら、薬物治療を開始します。抗うつ薬による治療は少量から開始し、様子をみながら徐々に増量して適切な量を処方します。効果が現れるまでにはある程度の時間がかかりますし、最初は薬の副作用が強く出る場合もありますが、焦らず治療を継続するのが大切です。通常、1~3カ月ほどで症状が軽くなるのが一般的ですが、人によっては半年以上かかるケースもあります。
この時期は、以下のように、回復のステップを一段ずつ昇るような実感を持ちながら治療に望みましょう。

  ①イライラや不安感がましになる
  ②憂うつ感が軽くなる
  ③生活への興味が戻る
  ④簡単な家事や外出ができるようになる
  ⑤生活が少し楽しめるようになる

■回復期 〔4~6カ月以上〕

次の段階は、調子がよい日の翌日にはまた悪化するといったように、小刻みに一進一退を繰り返し、徐々に回復してゆきます。この時期には「もう治った!」と勝手に薬を飲むのを止めてしまう人が少なからずいるのですが、症状の安定にはまだ遠い時期ですので、こうした自己判断は危険です。
急性期に比べ、気力が少しずつ戻り、身体も動くようになるにつれ、「希死念慮(死にたくなる)」があらわれることがあります。回復傾向に向かっているのに、突然自殺を図る危険性があるため、この時期、家族や周囲の人はより細心の注意が必要です。
休職している方はこの時期に職場復帰を焦りがちですが、職場に戻って以前のように働きはじめるには時期尚早です。無理のない程度に生活リズムを整えながら、再発防止のための思考方法の改善、認知療法などに取り組むのがよいでしょう。
この時期は症状の上下に一喜一憂せず、安定した状態が続くようになるのを目指しましょう。

 

■再発予防期 〔回復から1~2年の薬物治療が目安〕

症状が安定して社会復帰を果たせても、油断は禁物です。うつ病は非常に再発しやすいため、回復期を過ぎても1~2年間は薬物治療を継続して再発を予防しながら調子のいい状態を維持する必要があります。自己判断で薬を飲むのを止めないこと、また、飲み忘れにも注意が必要です。薬を止める際にはかならず主治医の指示に従い、適切な減薬を経てください。
調子が悪くなりはじめる際にどんな状態(サイン)がみられるか、家族や周囲の人たちと話し合っておくことも大切です。再発のサインは人それぞれですが、気分の落ち込みやイライラ感、不眠など、うつ病の初期症状とほぼ同じです。再発のサインが出ていないか、家族や周囲の人に注意してもらえるようお願いしておくとよいでしょう。