うつ治療のいま

はじめての受診ガイド

病院を選ぶ際の基本の考え方

うつ病かもしれないという疑いを持ったとき、どこで診てもらったらいいのだろう、という疑問に誰もが直面します。
精神科というのは名前だけで気が引けてしまうし、心療内科というのは何を診てもらうのかよくわからない…。そんな人が多いのではないでしょうか。
うつ病はいま、非常にポピュラーな疾患となっていますので、対応する医療機関も増えてきています。まずは、病院ごとの特徴を知り、ご自身の症状に合う科の見当をつけてください。そのうで、通いやすい条件の医院を選びましょう。うつ病の治療には時間がかかります。また、症状が悪化すると、外出することさえ難しい状態になることもありますので、家族に送迎をしてもらいやすいところや、タクシーでの往復も可能なところなどを考慮することも大切です。

各医療機関の特徴を知る

かかりつけ医

意外かもしれませんが、普段からかかりつけの医師がいる場合は、まず相談してみることをお勧めします。うつ病の症状が出るうつ病以外の病気は相当数あり、それらの疑いをもってアプローチすることは大切なことなのです。また専門機関での診察が必要な場合は適切な医療機関を紹介してもらえます。既往症や体質などについても書き添えてくれますので、紹介状を書いてもらいましょう。

心療内科

主に心身症(心が関与して起きる体の病気)を治療する科です。心と体を総合的に観察して病気を治してゆきます。
・吐き気があるけど胃カメラでは問題はない。
・癌や炎症がないのに腹痛・下痢がある。
など、身体の症状の強い方に適しています。

精神科

主に精神疾患を治療する科です。心身症よりも、不安、うつ、イライラ、幻聴、幻覚、統合失調症、神経症、不眠症、など、精神の不調が目立つ方に向いています。 

精神病院

精神科の単科病院のこと。うつ病の治療ではもっとも幅広い治療が可能で、特に入院を必要とするような重症の方の場合は、こういった病院でしか対応できないケースもあります。
外来から入院まで一貫して対応できるのが精神病院の利点です。
また精神病院自体は車でしかいけないような郊外にあることも多いのですが、駅前などの交通の便のよいところにサテライトクリニックがある場合もあるので、調べてみるとよいでしょう。

メンタルクリニック

心療内科である場合と精神科である場合と、両方の専門である場合があります。また時に神経科である場合もあります。心療内科・神経科・精神科では受診しにくいと感じる人に少しでも門をたたきやすくすると言う意味で「メンタルクリニック」と名乗るところも増えています。いずれにせよ、心療内科・神経科・精神科という心の分野を扱う医院であるという意味合いでの総称・俗称で、診療科目ではありません。

 

総合診療科

専門化・細分化されすぎた現代医療の中で、全人的に人間を捉え、特定の臓器や疾患に限定せず、心と身体の両面から全人的に医療を行う診療科。外来初診の症状のみの患者に迅速かつ適切に「診断」をつける科でもあります。 医療機関・大学によっては総合診療部とも呼ばれています。
うつ病の症状に詳しい医師も多いので、近くに総合診療科のある病院がある場合は、最初のこの科を選択して受診するのもいいでしょう。

保健所・精神保健福祉センター

患者本人が病院に行きたがらない場合は無理やり行かせると治療がうまくいかないばかりか、家族間の信頼関係を損ね、かえって病状を悪化させてしまします。そういった場合は、専門家がいる保健所や精神保健福祉センターに相談しましょう。無料で相談にのってくれ、医療機関も紹介してもらえます。

神経内科

よく精神科と間違えられますが、神経の病気(パーキンソン病、脳梗塞、ニューロパチーなど)を扱う科です。ただ神経内科の病気にはうつ病の症状を伴うものが多いので、うつ病について詳しい神経内科医も多いようです。

自分にあった受診科はどこ? 典型的なケーススタディ

■ケース1 46歳男性

管理職への昇進を機に不調が始まりました。
部署で起こるトラブルを自分がカバーすることでうまくいっていたのは最初だけで、疲れがたまり、ミスを連発するようになってからは、集中力が持続せず、気持ちだけが空回りしている状態です。毎晩、疲れているのによく眠れません。
睡眠外来に行けばよいでしょうか?

→典型的なうつ病症状ですね。精神科か、精神科を専門とするメンタルクリニックなどを受診しましょう。

■ケース2 50歳女性

ほてりや偏頭痛などの更年期の不調がずっと続いています。最近は気持ちの落ち込みがひどく、ふと、家族も何かも捨ててどこかへ行きたくなることがあり、自分でもおかしいと感じます。更年期以外の病気でしょうか?

→更年期うつ病に発展している可能性があります。更年期うつの場合は、更年期のホルモンバランスの変化を考慮する必要がありますので、更年期外来か、更年期うつに詳しい心療内科の受診をお勧めします。

■ケース3 75歳男性(※1:相談対象者)

久しぶりに両親の住む実家へ顔を出したら、父親(※1)の様子がおかしいのです。病気というわけではないのに寝込みがちで、ありもしない病名で自分はもうすぐ死ぬ、死ぬなら早く死にたいと口にして、包丁を持ち出したこともあります。そうかと思うと急に感情的になって暴れだしたりと手に負えません。認知症でしょうか?

→認知症である可能性もありますし、老人性うつ病かもしれません。自殺念慮もあるようなので、総合的な診断が必要ですし、場合によっては入院が必要になるかもしれませんので、精神科や心療内科のある総合病院がよいでしょう。

■ケース4 15歳女性

受験生なのに、勉強に集中できません。親の期待に沿う高校へ受からなければと思うと胸が苦しくなって吐き気がします。誰にも相談できず、苦しいです。病院へ行ったほうがいいですか?

→軽度の受験うつ病の可能性もあります。まずはご両親に相談してください。難しい場合は学校の保健室で相談し、ご両親に話をしてもらうこともできますよ。心に負担がかかるような無理な目標はいったん取り下げ、勉強も少し手をぬきましょう。2週間ほど環境を変えてみても症状が軽くならないようなら、カウンセリング治療に対応できる心療内科かクリニックがあれば受診をお勧めします。