親のためのうつサポート講座

親の役割を確認する

子供のうつ病

我が子がもしもうつ病になったら? あまり考えたくはありませんが、子供に発症する「小児うつ病」と呼ばれるうつ病が近年増え続けています。子供がうつ病になったとき、親ができること、親が知っておくと良いことはなんでしょうか。

子供のうつ病は、大人のうつ病と少し違う?

大人のうつ病は仕事上のプレッシャーや人間関係、加齢などが関係しているといわれていますが、子供のうつ病は、子供自身の心の問題が大きく関係している場合がほとんどです。
子供には子供の社会があり、そこで子供たちは人間関係を築いています。学校のクラスメイトや友達、担任の先生、そして習い事や塾に通わせている場合は、そちらでもまた独自の人間関係を築いているのです。子供がうつ病になる原因を探るためにも、子供がこうしたコミュニティの中で、どのような人間関係を築いて、どういった行動をしているのかをある程度把握しておくことが必要です。学校でどんな生活をしているかわからない時は、担任の先生に相談してみましょう。子供の友達や、その両親と仲が良い場合は、それとなく聞いてみてもいいですね。
ただし、子供のうつ病の原因は外部にだけ存在するわけではありません。家庭の中に原因がないか探るためにも、子供の様子がおかしいと感じたらいつも以上に注意して子供のことを見守りましょう。子供の行動や子供が話す言葉の中に、原因を突き止めるためのヒントが隠されているかもしれません。

子供がうつ病だとわかったときに、親ができること

まずは、無理に事情を聞き出そうとはせずにじっと待つことです。焦りや心配もあるでしょうが、「あなたが苦しい時にはあなたを助ける準備がある」と子供に伝えることで、話してみようと子供から決心してもらうことが大事です。
子供が思いを打ち明けてくれたら、その話を静かに最後まで聞きましょう。途中で口を挟んだり、子供の思いを否定するような言葉は絶対に避けてください。「否定された」と感じたら、子供は心を閉ざしてしまうかもしれません。そうなれば、うつ病がますます悪化するだけです。
子供の思いをすべて聞いたら、その思いを丸ごと認めることが大切です。辛かったことや悲しかったことに耐えぬいた子供自身を褒めましょう。「自分の思いは間違いではない」と子供が思うことで、心の余裕を持たせることができます。また、うつ病の治療をするときにも子供の苦しみを親が理解してくれることは子供にとって何よりも大きな支えになります。
必要であれば、学校や塾に事情を話してしばらくお休みさせましょう。ストレスの原因を遠ざけ、心を安静にさせることでうつ病は必ず回復に向かいます。小児うつ病や思春期のうつ病に詳しい医師の在籍する精神科や心療内科での受診もおすすめです。
ただし、子供に対して「この子は病気だ」というレッテルを貼らないでください。子供も1人の人間としての尊厳を持っています。「病気だから仕方ない」というレッテルや諦めは、子供の尊厳を傷つけ、消極的にさせてしまいます。それはうつ病の治療のみならず、子供の今後の成長にも影響しかねません。

なぜ小児うつ病は増え始めたのか

「小児うつ病」は近年になって名前がつけられただけで、実は昔から存在していたのです。ただ、それがうつ病の1つであることに気付かれず、「気難しい子供」や「子供のかんしゃく」などとされてしまい、医学の立場から治療をしようとは考えられなかったのです。
子供は、大人に比べて心も身体も未熟で不安定です。自分の気持ちを表す手段をまだ持っていない子供は激しい気持ちの波を自分でコントロールしたり誰かに伝えることが難しく、大人にわかってもらいたくてもわかってもらえないことが多いのです。このように昔から起こっていた子供の心の動きが、近年研究され始めたのはとても喜ばしいことです。
子供の世界はときに大人よりも激しく過酷な競争社会です。大人のような建前をあまり知らない分、大人よりも熾烈な競争社会を生きているのかもしれません。子供が疲れてしまったら、心身ともに受け止めてられるクッションのような役割を親は持つべきでしょう。「頑張って治そうね」「◯◯ちゃんならすぐ治せるよ」という励ましの言葉は、うつ病の場合は逆効果です。あくまでも、子供がうつ病になる前と変わらず温かく接しましょう。

小児うつ病になってしまった子供を支えているうちに、親もうつ病になってしまうことがあります。自覚がなくてもなんとなく無気力になってしまったり、むしょうに泣きたくなったりしたら、子供だけでなく親自身も早めにカウンセリングを受けましょう。また、うつ病は治療を始めたからと言ってすぐに回復するわけではありません。元気になったと思ったら、またふさぎこんでいるということもあります。親自身の心の健康も保ちながら、根気よくうつ病と付き合い、回復へ向かわせることが大切になります。