家族のサポート

回復期のサポート

うつ病の回復期

うつ病の回復期とは、急性期の治療によって症状が和らぎ、安定してくる時期です。社会復帰に向けたリハビリや本人の意思で活発的な行動にチャレンジすることも多くなります。
しかし、症状が安定したからといって完全に回復したわけではありません。うつ病治療の目的は症状の治療はもちろんですが、無理をしない生活スタイルやスタンスを確立し、社会復帰を目指すことです。症状が安定してもまだ完全にうつ病が治ったわけではないのです。
回復期には、「早く元の生活に戻らなくては」と気持ちが先立ってしまい、本人も無理をしてしまいがちになります。無理がたたって症状がぶり返してしまうと、それまでの治療が無駄になることもあります。
ご家族がブレーキの役目になって、本人の焦りや緊張を和らげるサポートが大切になる時期です。
ここでは、回復期の特徴とサポート方法についてご紹介します。

タイミングを掴む
回復期では、仕事や家庭生活に復帰するタイミングを考えることが重要になってきます。
それまで重たかった症状が安定してくると、本人は「もう完治したから早く元の生活に戻らなくては」と無理をしてしまいがちになります。家族はそこに注意して、急性期にみられた否定的な考え方や体調不良が本当になくなったかどうか、医師のアドバイスを受けながら本人ともよく話し合いをしてみてください。リハビリを考え始める目安にもなります。
薬の量
うつ病の症状が安定してくると、本人は「もううつ病が治った」と思い込み、それまで服用していた薬を減らしてしまうことがあります。
ですが、回復期はまだ完治には程遠く、ぶり返す可能性があります。そのため、急性期と同じように薬を飲んで、継続的に治療を続けることが必要です。
症状が安定したとしても、それは薬がしっかりと効いているためです。薬を飲まなくなれば、薬の効力もなくなり、症状を抑えることができなくなってしまいます。少しずつ薬離れを進めていくことは大切ですが、それは本人やご家族の判断で決めるべきではなく、担当の医師としっかり話し合い、体調を確認しながら慎重に見定めていく必要があります。
医師に相談
抗うつ薬は、非常に効果が強い薬です。副作用があることも報告されており、「性機能不全」「月経不順」「体重増加」などが認められています。
急性期の間は気にならなかった副作用も、余裕がでてくる回復期では不安になりがち。薬の効果よりも副作用が目立ってくるため、薬の服用をやめてしまう場合があります。
ですが、副作用のリスクを踏まえても、抗うつ薬を服用することには大きなメリットがあるのです。副作用の不安があることを本人から打ち明けられても、勝手な判断で服用をストップさせるのではなく、必ず医師に相談してください。症状が安定していれば、副作用のリスクが低い薬に切り替えてもらえることがあります。
回復期になると、「治っているのに薬を飲み続けると、依存症になってしまうのではないか」と不安に思ったご家族が独自の判断で服用を中断させてしまうことがあります。
抗うつ薬には、依存性や常習性はありません。うつ病が完治すれば、薬に頼ることなく日常生活を送ることができるようになります。
睡眠のリズム
うつ病では、午前中に抑うつ気分が強くなり午後から夜にかけて軽快してくる「日内変動」が起こります。そのため、気分の悪い朝を避け、昼夜に活動する生活パターンになることがあります。
急性期では脳を休めることを優先させるため、本人が負担に感じない生活のリズムを保つことが優先されることも少なくありませんが、復帰を目指す回復期では、睡眠のリズムを整えることも大切になってきます。
朝になるとベッドから離れてもらい、きちんと普段着に着替えて活動を始めることで、正しい生活のリズムを作っていきましょう。
もちろん、無理は禁物です。「辛いときにはいつでも休んでいいよ」と一声かけるだけでも、本人の気持ちが軽くなります。
ゆっくり少しずつ、生活と睡眠のリズムをゆっくりと整えていくことが大切です。
気晴らしに誘う
興味や関心が少しずつ戻ってくる回復期では、気晴らしがプラスのエネルギーに変わることもあります。
それでも、無理に誘いだすのは厳禁です。「やってみたい」という本人の自発的な意志があるかどうかをきちんと確認することが大切です。また、急激な変化を伴う場合には注意しましょう。
症状の波
回復期のうつ病では、午前中は抑うつ気分が強くなり午後に軽快してくる日内変動に加えて、日によっても調子の波が起こりがちです。気分の波が大きく変動することはうつ病の治療では避けては通れない道です。調子が良いと思ったらすぐにふさぎ込みがちになるなど、本人だけでなくご家族の方も、気分の波に振りまわされることが多くなります。
本人が悩んでいるようであれば、「ゆっくりと時間をかけて、一歩ずつ進んでいこう」と声をかけてみましょう。心が軽くなることがあります。
共倒れしないために
回復期は、治療を始めてしばらく経過し、家族にもサポート疲れがみえ始める時期です。
どれだけ親身になっても本人に回復の兆しがみえず、家族がサポートを諦めてしまうことがあります。ですが、うつ病の治療に家族の協力は必要不可欠です。すぐに成果がでるものとは考えず、ゆっくりと時間をかけて治療していくものだと受け止めましょう。
本人の否定的な考え方に巻き込まれずに、肯定的・楽観的なことを考えるようにしましょう。ひとりで抱え込まずに、担当の医師や家族以外の人に相談してみることも大切です。