家族のサポート

急性期のサポート

うつ病の急性期

うつ病の急性期では、「心の休息」と「薬の服用」を中心にした治療を行います。
この時期は気分の落ち込みや感情の起伏が激しく、身体の不調も続いて本人にとっても周囲の人にとっても辛い時期になります。また本人は極端に悲観的な考え方になり、人が変わったような言動をとることが多くなります。ご家族の方が差し伸べた手を振り払い、拒否することもあるかもしれません。ですが、それは本人が望んでそうしているわけではないということを理解することが大切です。
まずはご家族がうつ病についてきちんと理解して、医師とご家族がチームとなってサポートしていきましょう。
ここでは、急性期の特徴とサポートについてご紹介します。

否定的な思考
急性期の間、うつを患った方は物事を極端に悪い方向に考えがちです。
自分や周囲に対して否定的な見方をしたり、今までの性格からは想像もできないような言動をとったりします。しかし、これはその人の本来の考え方ではありません。
ストレスになるような出来事が重なり、周囲からの協力が得られない状況が続くと、脳はそのストレスを処理しきれずにパンクしてしまいます。そうして脳の神経伝達物質のバランスが崩れ、極端に否定的な考え方になってしまうのです。普段とは違う状態に戸惑うかもしれませんが、それは一時的なものでありうつ病の症状であることを理解することが大切です。
休養できる場所
急性期に最も必要なことは、脳に十分な休息をとらせることです。
そのために、うつを患った方が十分に休養できる環境を用意することが大切です。急性期は偏った考え方しかできない時期になります。休むことは悪いことだと思い込んでいる本人にとって、医師に休息が必要だと説明されてもなかなか受け入れられません。ですが、ご家族からのアドバイスがあることで本人の心の負担は軽くなります。
本人がストレスを感じていた場所から離れて、ゆっくりと休息ができる環境づくりをサポートすることが重要です。
全体像を理解する
薬の服用・十分な休息・環境の改善。このバランスをしっかりとることが、急性期の治療では重要になります。ストレスが多くなると脳の機能が上手く働かなくなり、物の見方が否定的になって、些細なことにもストレスに感じるようになります。
この悪循環によって、うつ病の症状は次第に悪化してしまいます。
脳の機能を回復するには、十分な休息と医療機関で処方された抗うつ薬が有効です。
ご家族の方からは、うつ病に悩み苦しんでいる方が少しでも楽でいられるような環境を用意しましょう。それも立派な治療の1つなのです。
それぞれの治療がうまく噛み合うとき、初めて効果が現れます。
本人はもちろん、ご家族の方からもうつ病治療の全体像を把握し、サポートしていくことが大切なのです。
薬の効果
抗うつ薬の効果は、一般的に服用後1週間から2週間ほどで発揮されます。飲み始めは吐き気などの副作用が出てくることがありますが、徐々に治まっていきます。薬を身体に慣らしていく期間と考えていいでしょう。
しかし、うつを患った方にとっては「すぐに効果が現れない」「逆に悪化しているのではないか」といった不安に駆られる時期でもあります。薬の正確な効用については、服用している本人でもなかなか把握できません。ご家族の方も、抗うつ薬について詳しい知識をお持ちではないかもしれません。曖昧な情報を基にアドバイスをするのは、却って逆効果になります。「薬のことは、医師にきちんと相談しよう」と伝えることが大切です。
また、薬を飲み始める時期には、特に症状や体調の変化に注意しましょう。
少しでも疑問に感じることがあったら担当の医師に相談するようにしましょう。
一緒に通院
急性期は、できる限りご家族の方も一緒に通院することが大切です。
うつを患った方は物の見方が極端になっているため、医師に自分の状況を的確に伝えることが難しくなっています。実際は改善傾向にあっても、悪いことや気がかりなところだけをピックアップして伝える場合があります。
医師は本人やご家族からの情報を参考にして、薬の量は適切であるか、きちんと効いているかを判断します。病院に同行して、担当の医師に客観的な情報を伝えることも立派なサポートです。

してはいけないこと

励ます、遊びに誘う
うつを患った方を応援したくて心から出た励ましの言葉であったとしても、逆効果になる恐れがあります。
急性期は不安や焦燥感で落ち着かず、何事にも優先順位がつけられない状態です。
「がんばって」と言われても、何をどう頑張ればいいのか本人にもわからず、応えられない自分への否定的な気持ちが強まってしまいます。
また、物事に対する興味や意欲がなくなっている状態であるので、「気晴らしに遊びにいこう」といった誘いも本人にとっては負担になります。
急性期の間は、遊びに行けるだけのエネルギーがないことも理解することが大切です。
重要な決断
急性期は否定的な考えをしてしまいがちになり、小さなことでも本人は大げさに受け止めて「自分はダメな人間だ」と思い込んでしまいます。極端な例では、「辞職したい」「離婚したい」と言い出してしまうこともあります。しかしそれは本来の考えではなく、うつ病による一時的な意見であると理解しましょう。
そう言われた場合、「今は治療に専念して、回復して落ち着いてから一緒に考えよう」ということをきちんと伝えるようにしましょう。
1人にする
うつを患っている方は、「消えてしまいたい」と思いつめてしまうことがあります。1人で悩んだままだと、思い切った行動をとってしまうことがあります。
そんなときには、家族の存在が大きな支えとなります。本人が望む限り、できるだけ一緒の生活を過ごすようにして、うつ病の方が安心できる環境づくりを考えましょう。
とはいえ、必ず同じ部屋、同じ空間にいなければならないというわけではありません。むしろ、常にそばに誰かがいる状態を作ってしまうと、ストレスになってしまいます。
求められればいつでも応じる姿勢を示すことや、いつでも精神的な支えになれるとオープンな気持ちで向き合うことが大切なのです。