うつ病と深く関わりのある「セロトニン」とは何か?

うつ病を知る

セロトニンはうつ病の原因の一つとされ、うつ病について調べていると名前を目にする機会も多いはずです。日常生活においてはほとんど名前を聞くことはありませんが、セロトニンは人間の体の中で重要な役割を担っています。その役割は体のさまざまな場所に及び、いくつもの器官を持つ体をバランス良く機能させるために、潤滑油のような働きをしています。セロトニンが不足すると、うつ病の他にも体的な病気を引き起こしてしまうのです。今回は、セロトニンとうつ病の関わりについてお話しましょう。

身体機能のほとんどに関わるセロトニンの増やし方をマスターする

セロトニンの重要性

セロトニンは、必須アミノ酸であるトリプトファンから作られる神経伝達物質です。人間の脳で生成され、生体リズム(生活リズムとも)や神経内分泌、体温調節や睡眠など、人間が生きていくためにとても大切な機能を司っています。また、ドーパミンやノルアドレナリンといった、感情に関係する神経伝達物質の情報をコントロールする役目もあり、精神的安定をもたらすためにも必要です。

セロトニンの役目は多岐にわたり、消化器系や心臓と血管の動き、痛覚の認知や食欲にまで及びます。人間が生きていくための身体の機能のほとんどにセロトニンが関わっており、セロトニンの分泌量が極端に増減すると、体の機能がバランスを崩してしまうのです。

セロトニンは、一定のパターンを持った筋肉の動きや光によって分泌されます。体が活発に活動しているときに活性化する交感神経に適度な緊張を与え、覚醒状態を保ち体が活動できる状態を作っています。

セロトニンが不足するとどうなる?

覚醒状態を保ち、感情の安定や体の正常な機能のために欠かせないセロトニンが不足すると、セロトニンが管理し、バランスを保っていた機能に少しずつズレが生じてしまい、不安定になります。感情が安定しなくなり、ささいなことで落ち込んでしまい、うつ病の前段階である抑うつ状態を招きます。抑うつ状態になると日常生活への意欲が減少し、食事や身だしなみといったことをおろそかにするようになり、さらにセロトニンが減少してしまうのです。

また、セロトニンが不足すると交感神経の働きが一定のリズムを刻めなくなり、生体リズムが崩れることで睡眠時間が不安定になります。うつ病の原因がセロトニンにあるといわれている理由がまさにここにあります。一度セロトニン不足に陥った脳や体は、簡単にバランスを取り戻すことはできません。バランスを崩したまま生活するとますますセロトニンが不足してしまい、抑うつ状態からうつ病へと本格的に進行していってしまうのです。

こうしたことが近年の研究の結果判明し、うつ病の治療や予防にはセロトニンを回復させることが重要だということも同時にわかったのです。

日常生活の中で、セロトニン不足を防ぐためにできること

セロトニンはトリプトファンという、必須アミノ酸に分類される栄養素をもとに生成されています。必須アミノ酸は名前の通り、人間の体の成長や維持のために必要不可欠とされるアミノ酸ですが、人間の体の中で合成することができません。セロトニン不足を防ぐには、食生活を変えてみるところから始めるといいでしょう。

トリプトファンはたんぱく質の多い食品により多く含まれます。牛や豚のレバー、鶏卵、魚介類(特にカツオなど赤身の魚)や乳製品が、トリプトファンを多く含む代表的な食材です。ひまわりの種といった種子類や納豆、落花生やアーモンドといった食品にも含まれます。食事だけでなくおやつとしても気軽に摂取できそうですね。

トリプトファンは水に溶けにくいため、体の中からなかなか排出されません。そのため、過剰に摂取すると肝硬変などの肝臓の病気を招きます。食べ過ぎに注意して、1日の食事にバランス良く配置しましょう。

セロトニンを分泌するセロトニン神経の活動を活発にさせることも、セロトニンの分泌を促します。セロトニン神経は一定のパターンを持った筋肉の運動によって活発になるので、運動として集中的にウォーキングを行ったり、硬いものをよく噛んで食べることはとても効果的です。一定のリズムで呼吸することもセロトニン神経の興奮を促すので、歌や朗読で一定の呼吸を繰り返すのもいいでしょう。

セロトニン神経の活動を活発にさせる要素の一つに、グルーミングがあります。一般的には動物の毛づくろいを指して使う言葉ですが、人間にも社会的グルーミングという言葉で使われています。自身や他者の外観をきれいに整え、接触を伴うコミュニケーションを指します。髪を梳かしたり体を撫でたりという行為や、マッサージなどが社会的グルーミングとされ、こういった接触を伴うコミュニケーションを行うことでセロトニンが活発に分泌され、気持ちが安定するのです。

まとめ

セロトニンとうつ病の深い関係、改めてお話してみました。セロトニンは人間の体において重要な役目を担っています。うつ病だけでなく、体の器官をバランス良く機能させるための潤滑油のような物質なのです。セロトニンが不足することで生体リズムが乱れ、うつ病の進行が早くなってしまうこと、ご理解いただけたでしょうか。

食生活や大切な人たちとのコミュニケーションの中で、セロトニンを増やすことは可能です。うつ病予防のために、日常生活の中でセロトニンやトリプトファンを意識した生活をしてみましょう。

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