季節性のうつ病「冬季うつ病」の特徴と対策

うつ病を知る

一般的にうつ病という言葉でイメージされる単極性うつ病。いわゆる躁うつ病に該当する双極性うつ病。ほかにも、仮面うつ病や産後うつ病などなど……。一口に「うつ病」といっても、その種類は様々。その中でも、一定の期間だけ症状が出るという珍しいうつ病があります。それが、季節性情動障害。中心となるのが、主に秋から冬にかけて発症することが多い「冬季うつ病」と呼ばれるものです。一般的なうつ病と冬季うつ病の違いは何なのか、またなぜ冬にだけ発症するのか。その原因と特徴、そして対策をご紹介します。

日光不足が原因ゆえに、日光浴で予防する

冬場短くなる「日照時間」に原因あり

前述したように、冬季うつ病は秋から冬にかけて症状が現れ、春になるにつれて回復していくといううつ病です。日照時間が短くなる秋から冬にかけてうつ状態が続くようになり、春の訪れとともに症状は治まります。そのため、春になると治ったと勘違いしてしまうことも多く、冬季うつ病だと気付かないこともあります。一般的には、秋口から春にかけてのうつ状態が2年以上続くようであれば、冬季うつ病と診断されます。

この冬季うつ病は、一度発症すると毎年繰り返す傾向にあります。中には冬場にうつ状態、夏場に躁状態という双極性障害のような症状になることも。また、一般的なうつ病とは違って精神的な問題があるわけではなく、比較的症状が軽いことが多い上に春になると治るため、自覚症状があっても病院を受診しないこともあります。

うつ病とは逆の「過食・過眠」症状

冬季うつ病は、一般的なうつ病に比べて比較的症状が軽い場合が多く、症状の方向性が逆であるという特徴があります。一般的なうつ病では、摂食障害や不眠症など、「普段はできることができなくなる」ような症状が目立ちますが、冬季うつ病の場合は過食症や過眠症など、「普段はしないことをしてしまう」症状が現れるケースが非常に多いのです。このほか、炭水化物や甘いものといった糖質を多く含むものを食べたくなることが多く、過食・過眠と合わせて太りやすい傾向にあります。

日光を浴びることで増加するセロトニンがキー

冬季うつ病は冬場にだけ症状が出るうつ病ですが、なぜ冬場に限定されるのでしょうか。それには、日光が大きく関係しています。

日光を浴びることで、セロトニンの分泌量が増加します。セロトニンは神経伝達物質の一種で、同じく神経伝達物質の一種であり快楽や意欲を司っているドーパミンや、興奮物質として知られるアドレナリンを制御する役割を担っています。つまり、セロトニンが十分に生成されないと、活発に活動しようという意欲や、そのために身体を動かすエネルギーが低下してしまい、抑うつ状態に陥りやすくなってしまいます。

もうひとつ、メラトニンの分泌量も日光に大きく影響されます。メラトニンは睡眠と覚醒のリズムを調整する、いわゆる体内時計の機能を司るもので、セロトニンと違って日光を浴びることで分泌量が減少します。体内のメラトニン濃度が下がると身体は活動状態に移行し、逆にメラトニン濃度が高まると身体は眠気を感じるようになり、体温が下がって休眠状態に移行します。適切な時間帯に適量の日光を浴びることで、覚醒と休息がバランスよく巡ることが正しい状態なのです。

では、日光を十分に浴びることができなければどうなってしまうのでしょうか。当然、メラトニンがいつまでも分泌され続けることになり、体内時計が狂ってしまいます。身体が休眠状態に移行できず、エネルギーばかりが消費されてしまって、日中の倦怠感や過剰な眠気を誘います。そうした状態が改善されないまま悪化すると、冬季うつ病を発症してしまう恐れがあります。

実際に冬季うつ病を発症している人の国内分布をみると、日照時間の短い北海道、東北、北陸地方に多くなっています。世界各国に目を向けてみても、フィンランドやアラスカといった極北地域の発症率は高く、人口の10%に及ぶこともあります。こういった地域に移住してきた人の発症率が高いことからも、日光との強い関係性がみられます。

冬季うつ病にならないために

前述のとおり、冬季うつ病は日光をしっかりと浴びないことが原因で発症します。そのため、何よりの対策は日光をきちんと浴びることです。冬場は特に日照時間が短いため、意識して日光を浴びるようにしなければいけません。朝夕がまだ暗い季節なので、昼間の外出を意識するようにしましょう。

まとめ

冬季うつ病は一般的なうつ病とは異なり、基本的に精神的な問題によって起こるわけではなく、春になれば自然と治る一過性のものです。そのため、あえて特別な治療を施す必要がないと考える医師もいます。しかし、それはあくまでも日常生活に影響が出ない範囲の、軽度の冬季うつ病ならではの話。生活に支障がでるほど重く感じるのであれば、早々に医師の診断を受けて治療を始めましょう。どうせすぐ治るから、と軽くみてしまうことがもっとも危険です。

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