同じようで違う、マタニティーブルーと産後うつ

うつ病を知る

妊娠中や出産後に、わけもなく不安になって涙が止まらなくなったり、ちょっとしたことでイライラしたりすることを「マタニティーブルー」、あるいは「産後うつ」といいます。マタニティーブルーは特別なことではなく、日本では2人に1人はマタニティーブルーに陥るといわれています。出産前後は体が大きく変化しますから、精神的に不安定な状態になりやすいのです。一方、産後うつは育児や体調の変化など、あらゆる悩みによって引き起こされるといわれています。出産後、気分が晴れず鬱々とした気分が続くのであれば、それは産後うつかもしれません。

二つの相関性、違いを理解して適切に対応する

妊娠前後のホルモンバランスの変化がマタニティーブルーの原因

妊娠中、もしくは産後2~3日目に、急に悲しい気持ちになって涙が出たり、何でもないことにイライラしたり、子育てへの不安でいっぱいになってしまったりすることを「マタニティーブルー」といいます。マタニティーブルーは「心が弱いからなる」のではなく、「体の変化に付随する自然な反応」なのです。

妊娠すると、女性の脳は出産にそなえて体にさまざまな指示を出します。脳の発する指示内容が書かれているのがホルモンです。脳の指示を受けたホルモンは体に働きかけ、それに適応しようと体は大きく変化します。たとえばプロゲステロンという黄体ホルモンは、子宮内の状態を整え、流産を防いでくれる大切なホルモンです。また、女性ホルモンであるエストロゲンも、子宮を大きくしたり、母乳を作る準備を整えてくれます。しかし、これらのホルモンが大量に分泌されることにより、マイナスの面も出てきます。ホルモンバランスが崩れることにより自律神経に影響が出て、精神的に不安定になりやすいのです。出産後には、それまで分泌されていたホルモンの量がぐっと減少しますので、やはりホルモンバランスが崩れ、体調や精神に大きな影響を及ぼします。

これらの、ホルモンバランスが崩れることによる出産前後の軽いうつ症状を、マタニティーブルーと呼ぶのです。マタニティーブルーはホルモンの分泌量が大きく変化する産後2~3日をピークとして、2週間から1ヶ月ほどで自然に回復します。

マタニティーブルーと産後うつの違い

マタニティーブルーはホルモンバランスが崩れることによって引き起こされるものですから、産後、体調が戻ると自然と回復していきます。しかし、産後数日から数ヶ月以上経ってもマタニティーブルーが続く場合、それは「産後うつ」の可能性があります。

育児を完璧にこなそうと頑張りすぎてしまったり、自分の体調や気持ちの変化を誰にも相談できなかったり、さまざまな要因で産後うつは引き起こります。出産した女性の約10人に1人が産後うつになると考えられています。産後うつに陥ると、先のことを考えて不安でいっぱいになってしまったり、「赤ちゃんのことが分からない、育児に自信が持てない、赤ちゃんに愛情が持てない」と自分を追い詰めてしまったり、何に対しても興味や自信がなくなって消極的になったりします。頭痛や嘔吐感、過食や拒食、過眠や不眠など、身体的な症状が表れる場合もあります。

産後うつはれっきとした病気です。マタニティーブルーと違って放っておくと症状が悪化する可能性があるので、マタニティーブルーの延長であると軽く見るのではなく、周囲のサポートを受けましょう。

まとめ

マタニティーブルーも産後うつも、周囲の理解やサポートが何よりも重要です。一人で抱え込まずに、家族やお医者さんなど周囲の人と不安な気持ちを共有しましょう。妊婦さんやお母さんのサークルなどに入って、同じ悩みを抱える人と話をするのも有効です。

家族や周囲の人は、出産前後の女性が精神的に不安定であったとしてもそれを理解し、受け止めてあげましょう。「頑張れ!」「しっかり!」と励ますのではなく、不安な気持ちをありのまま受け止めてあげることが大切です。

マタニティーブルーも産後うつも、決して無理をせず、頑張らずに、周囲の助けを求める必要があります。周囲のサポートが得られればマタニティーブルーや産後うつは回復していきます。ですが、それでも症状が長引くようであれば、処方薬やカウンセリングによる適切な治療を受けましょう。

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