うつ病と低血糖症、誤診の多い両者の症状に注意

うつ病を知る

うつ病と聞くと、疲れやすい、イライラする、動悸がする、気分が塞ぎこむ、集中力が続かない、といった症状が思い浮かぶのではないでしょうか。これらの精神的な症状は、うつ病ならではのものだと考えてしまいがちですが、実はうつ病以外にもこういった症状が表れる病気があります。その1つが「低血糖症」という病気です。症状がうつ病と似通っているため、誤診されることも少なくありません。ここでは、低血糖症とうつ病の違いについて詳しく解説していきます。

大事なのは、両者の共通点と相違点を見極めること

両者の精神症状には多くの共通点が 

低血糖症とは、すい臓の機能障害によって血糖値が正常な変動幅を超えてしまい、低血糖状態になる症状のことを指します。この低血糖症は目立った症状が表れないケースもまれにあり、その場合は症状が出たとしても「イライラ感が募る」程度に留まることも少なくありません。また、「どの程度血糖値が下がれば低血糖症なのか」という明確な基準数値がないのも、低血糖症を発見しにくくしている要素です。

その低血糖症とうつ病には、複数の共通した精神症状が表れます。具体的には、「イライラしやすくなる」「気分が落ち込み、抑うつ状態になる」「決断力や集中力が極端に落ちる」といった症状が表れます。特に低血糖症の抑うつ状態は、うつ病にみられる抑うつ状態とほぼ同等のものがみられます。このような症状により、うつ病と誤診されてしまうケースも少なくありません。

身体的な症状にも共通点があるが、相違点も 

低血糖症とうつ病には、精神的な症状だけでなく身体的な症状にも似通った点が表れます。例としては「朝に弱くなり、異常な疲労感に悩まされる」「寝付きが悪くなり、中途覚醒や早朝覚醒など不眠症の症状が出る」「めまいや立ちくらみ、ふらつきを起こす」といった症状が代表的です。また、焦燥感から来る震えや大量の寝汗といった症状も、低血糖症とうつ病に共通しています。

一方、両者の身体的症状には相違点も見られます。それは、症状が表れる時間帯です。低血糖症には、夕方頃から急激な眠気や手の震えといった症状が見られやすくなります。したがって、低血糖症は夕方頃から調子を崩しやすいと考えられますが、これに対してうつ病は夕方から夜にかけて体調が回復する傾向にあります。また、食欲の有無にも違いがあります。低血糖症がやや過食気味になり、空腹感を覚えやすくなるのに対して、一般的なうつ病は食欲が減退してしまい、体重も減少する傾向にあります。このように、身体的な症状が表れる時間帯や食欲の有無、食事のしかたなどに注意すると両者の違いがみえやすくなります。

誤診されるリスクと併発のリスク考える

日本では多くの低血糖症の患者がいると推測されています。うつ病の治療を2年に渡って受けても症状が改善しなかった患者20名を調査したところ、そのうち19名が5時間の糖負荷試験で低血糖症だと診断されました。なお、日本では低血糖症とうつ病を正しく見分けられる医師がまだ少ないのが現状です。それに加え、一般的な知名度も低いため誤診されてしまい、適切な治療を受けられずに長年苦しんでいる患者もいます。しかし、誤診を防ぐための方法も少しずつ明らかになってきています。その1つが前述した「糖負荷試験」です。この試験で低血糖症かどうかを判断するには約5時間という長い時間が必要ですが、これによって誤診のリスクは格段に下がります。

一方で、うつ病と低血糖症が併発するケースもしばしばみられます。そうなった場合は、うつ病の治療と低血糖症の治療を併用して治療していく必要があります。

まとめ

低血糖症はうつ病と共通する点がいくつもあり、発見が遅れるという例も多く報告されています。抗うつ剤を飲んでも効果がなかったときは、一度低血糖症を疑う必要があります。「抗うつ剤が効かないので、別の病気ではないか心配」というように、医師に相談してみるのも一つの方法です。

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