畑仕事がうつ病に有効? 太陽と土いじりの効果

うつ病を知る

うつ病の原因は現在究明中であり、はっきりしたことはまだ分かっていません。うつ病の原因といわれているなかで最も有力だとされているのが、神経伝達物質「セロトニン」の不足です。セロトニンは神経の暴走を抑え、気分を落ち着かせる役割のある伝達物質で、うつ病患者の多くはセロトニンが不足している状態だとされています。そのため、セロトニン量を増やすことがうつ病治療につながると考えられています。ここでは、セロトニンを増やすために有効な手段として、畑仕事のさまざまな効果についてご紹介します。

朝日を浴び、土に触れることでセロトニンが増え、うつ病の予防

日常的に畑仕事をしている人はうつ病になりにくい

愛知県の医師らによる研究会により、日常的に畑仕事をしている人は、そうでない人に比べてうつ病になりにくいという調査結果が発表されています。この調査は、高齢者たちを支援する体制作りのために行われたもので、特に高齢者のうつ症状と農業の関係に着目しています。

調査によると、65歳以上の男性において、日常的に畑仕事を「していない」と答えた人の45.3%にうつ症状がみられたのに対し、「している」と答えた人では30.6%しかみられませんでした。さらに、女性では「していない」と答えた人は50.4%、「している」と答えた人は37.1%。やはり畑仕事をしている人の方がうつ病になりにくいという統計が出ています。この差は80歳以上に限定するとさらに広がり、畑仕事をしている人にはほとんど重度のうつ症状がみられなかったといいます。

畑仕事はセロトニンを増やす

セロトニンの不足状態がうつ病と深く関係している、というのは冒頭で述べたとおりです。畑仕事をしている人がうつ病になりにくいのは、畑仕事によりセロトニン量を増やせるからだと考えられています。セロトニンの分泌量を正常に保つ方法は多くあり、そのうち特に重要なのは規則正しい生活と適度な運動、朝日を浴びることです。

寝起きの時間が不規則、睡眠時間が短いなどの不規則な生活を続けていると、セロトニン神経の働きが鈍くなってしまいます。また、運動不足や日光を浴びないことも、セロトニン神経の鈍化につながることが分かっています。

日常的に畑仕事をしていると、毎日早くに起きて仕事を始めるため、規則正しい生活と朝日を浴びることをクリアしています。また、畑仕事は体力を使うので、適度な運動もこなしていることになります。そのため畑仕事をしているとセロトニン量が正常に保たれ、うつ病になりにくいと考えられているのです。

また、畑仕事のうち、土いじりがうつ病に効果的だという研究結果も出ています。イギリスの大学の研究によると、土に含まれているバクテリアの一種が抗うつ剤と同じ役割を果たしており、セロトニン量を増やすのに一役買っていることが分かりました。
同研究では、土いじりをすることでセロトニン量が増加する可能性があるとしています。すなわち、土いじりによってバクテリアを体内に取り込む可能性があるため、それによってバクテリアが持つ抗うつ効果を期待できるというものです。

農業体験によるうつ病回復事例

畑仕事による精神的なケア効果に着目したグループがあります。そのグループでは、うつ病や統合失調症などの精神疾患を持つ患者を受け入れ、農業体験を通して症状を緩和させようという取り組みを行っています。短期間のプログラムによりうつ病が回復したという例が多数報告されており、医療の現場からの注目も集まってきているといいます。現在はこのような取り組みが行われているため、畑を持っていない人でも気軽に畑仕事を体験することができます。

このプログラムでは精神疾患の患者だけでなく、引きこもりや登校拒否の子どもたちの受け入れも行っており、総合的なメンタルケアとしても役立てられています。

とめ

このように、畑仕事はうつ病の予防・改善に役立つといわれています。うつ病の予防、もしくは軽度や回復期にあるうつ病の改善に取り入れることを考えてみましょう。上記で紹介したプログラムだけでなく、自宅で行うガーデニングでも一定の効果が見込めます。

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