「有名人ほどうつ病になりやすい」は本当なのか?

うつ病を知る

歴史に名を残すほどの有名人でさえ、時として心を病み、芸能活動を中止したり、自ら死を選んでしまうことがあります。有名人がうつ病になることは、それだけで社会にとってセンセーショナルなできごとなのです。メディアがこぞって報道するためすぐに人々の知るところとなり、いつしか当たり前のように「有名人ほどうつ病になりやすい」と語られるようになりました。ですが、本当に有名人ほどうつ病になりやすいのでしょうか。

うつ病になりやすい芸能人特有のメンタリティは存在するのか?

YESの意見……過密スケジュール、自己決定権の否定

華やかな有名人のイメージは、それを作り上げるまでの血の滲むような努力の上に築き上げられたものです。人気が出れば出るほど仕事が入り、スケジュールが埋まってしまうため、忙しくて寝る暇もないという有名人も珍しくありません。プライベートな時間を取ることはもちろん、十分な休息を取ることも難しくなってしまいます。

また、有名人という立場には、自己決定権よりも重視しなければならない要素があります。たとえば所属する集団の利益であったり、対外的なイメージを守ることです。そのためには、望んでいないことを言わされたり、やりたくないことをさせられたりと、自己決定権が蔑ろにされることも珍しくありません。有名税という言葉で正当化され、知られたくない秘密までメディアに報道されてしまう状況に耐え難い苦痛やストレスを感じるのは当然です。有名であり続けるためにこうした負担に耐え続け、無理がたたってうつ病を発症してしまうことがあったとしても不思議ではありません。

NOの意見……「有名である」ことがイメージを作り上げているだけ

名前と顔が特定されているというのも有名税の一つと言えます。ですが、それは有名人でなければ、一般に顔と名前が特定されることはない、ということでもあります。では、一般人がうつ病を患ったとき、その事実は公にされるでしょうか? 答えはもちろんNOです。うつ病を患っているという事実は、本人やその家族、病院、職場に知らせている方は上司や同僚など、ごく一部の方にしか知らされません。対して有名人は、メディアに報道されることで広く世間に知られます。情報の拡散性に違いがありすぎるのです。そのため、「有名人ほどうつ病になりやすい」というイメージが作り上げられているだけ、と考えられます。

結論……過酷な環境に身を置けば、誰もがうつ病にかかりやすくなる

心に耐え難いほどの負担を抱え続けてしまったとき、うつ病を発症する恐れがあるのは有名人に限った話ではありません。職業や立場、年齢、性別、性格などが違っても、ストレスやプレッシャーを感じ続けていれば心と身体の調子が悪くなってしまうのは誰でも同じことです。

有名人は、強いストレスやプレッシャーを感じる環境に身を置きやすく、うつ病を患ってしまったときにはメディアを通じて公な情報として扱われてしまうため、うつ病になりやすいとイメージされているに過ぎません。有名人にのみ共通する「うつ病になりやすい特有のメンタリズムがある」というわけではないのです。

まとめ

「有名人ほどうつ病になりやすい」という説には、確かにもっともらしい理由があります。特殊な環境、特殊な立場にいるからこそ感じるストレスが原因となって、うつ病になりやすいのかもしれません。ですがそれは、うつ病の原因となるストレスを抱えやすく、うつ病を患ったときに情報が拡散されてしまうだけで、有名人に特有のことではないと考えたほうが妥当です。

また、「有名人ほどうつ病になりやすい」というイメージは、うつ病を遠くのもの、一部の人にしか関係のない病気だと思わせる原因にもなりかねません。そうではなく、うつ病は誰にとっても身近な病気であると理解することが、うつ病の予防や早期治療につながっていきます。

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