認知療法で心の視点を変えてうつ病を克服!

うつ病を知る

自分自身、または家族や職場の人にうつ病の疑いが見つかった場合、「なぜうつ病になったのか」という点が重視されます。うつ病の発症には必ず何かしらのきっかけがあり、ひとつとして同じ症例はありません。そのため、うつ病の治療を進めるうえで、マニュアル通りにならずに個人の症例に合わせた克服法を見つけていくことが大切になります。うつ病克服のポイントとなる、うつ病を患った方の「ものの考え方」を正常に戻す認知療法(認知行動療法)についてご紹介します。

 

ネガティブ思考をポジティブ思考にチェンジする「認知療法」とは

認知のゆがみを修正し、ポジティブ発想に転換する

認知療法とは、「現実の受け止め方」や「ものの考え方」を少しずつ良い方向に変えていく治療方法です。偏った考え方を修正し、認知のゆがみによって発生した問題の解決をサポートする精神療法です。簡単に説明すると、ネガティブ思考からポジティブ思考にチェンジする治療といえるでしょう。

私たちは、主観によってさまざまな判断を行ないながら毎日を過ごしています。しかし、心身に大きなストレスがかかる状況が続くと判断力が低下し、認知のゆがみが生じるようになります。ささいなことでイライラしたり、物事を悪い方向にしか捉えられなくなり、さらには心身にストレスがかかるといった悪循環に陥ってしまいます。そういった悪循環をストップさせるために、根本ともいえる「考え方」を良い方向に変えていくことが認知療法の目的です。

うつ病の方は、極端な考え方をする傾向にあります。根拠がないのに断定してしまったり、相手の気持ちを決めつけてしまったりと、物事を悪い方向にしか捉えません。体と心が追いつめられてギリギリの状態が続くと、普段であれば何とも思わないことに対しても悲しくなって涙が止まらなくなるなど、自分の感情をうまくコントロールできなくなります。周囲の環境とうまく折り合いをつけられなくなり、自分の居場所を見失ってしまいます。そういった状態の人にとてもショッキングな事件が起きると、心のエネルギーが底をついて、抑うつ症状が現れてしまいます。認知療法には、うつ病特有の思考のねじれを直して、こういった心のストレスを減らしていく役割があります。

認知のゆがみが修正されたら、うつ病になった原因にアプローチする

認知療法は、担当の医師や専門のカウンセラーと相談しながらゆっくりと進めていきます。自分の考え方が心と体にどんな影響があるかを考えたり、いつもの生活のなかで楽しいと感じるアクションを探してみたり、認知療法にはさまざまな方法があります。偏った考え方が少しずつ解消されたら、自分のストレスの原因とその周囲の問題について整理するステップに入ります。うつ病における認知療法のゴールは、うつ病を患った原因を探して、解決するにはどうしたらいいかを考えることです。

「認知療法」でうつ病改善事例

認知療法によってうつ病を改善できた事例をご紹介します。

●夫の不倫でうつ病を発症したAさんのケース

【原因/発症】

Aさんには夫と子供がいます。しかし最近、夫の不倫が発覚してとても強いショックを受けました。近所でどんな噂をされているか気が気じゃない毎日を過ごしています。食欲もわかず、眠りが浅くなり夜中に何回も目が覚める日が続いています。平静を保てなくなり、子供にも辛く当たってしまうこともあります。心身ともに疲れ果て、家事をする気にもなりません。周囲が異変に気づき精神病院への受診を勧めると、うつ病であることが発覚しました。

【改善のポイント】

Aさんのケースでは、夫の不倫によるストレスでうつ病を発症しました。そのため、うつ病を克服するためには夫との関係性を見直すことが大切になります。Aさんの場合、一時的な別居を選択することにしました。夫と距離をおいて、落ち着いた環境で今後の生活のことを考えるためです。別居中に担当の医師と認知療法を始めると、「近所で噂されているのではないか」「家族に捨てられるのではないか」という思い込みが見られなくなりました。心身へのストレスが軽減された環境でうつ病の治療を進めたAさんは、次第にうつ病の症状が少なくなっていきました。うつ病を患う前と同じ判断力が戻ったAさんは、今後どういった生活を送るか、前向きに選択することができています。

 

●昇進の重圧でうつ病を発症したBさんのケース

【原因/発症】

真面目で仕事熱心なBさんは、その働きぶりが認められて昇進したばかり。しかし、この昇進による環境の変化をストレスに感じるようになります。任せられる仕事の責任の重さがこれまでとは違うこと。部下の教育のことも考えなくてはいけなくなったこと。上司からの期待に応えること。周囲に迷惑をかけたくないB さんは頑張りすぎて、いつしか心身ともにエネルギーが空っぽになってしまいます。ある日突然、仕事に行く気力がなくなり、担当の医師に相談すると自身がうつ病であることが分かりました。

【改善のポイント】

Bさんは、昇進によるプレッシャーが原因でうつ病を発症しました。Bさんがうつ病を克服するためには、自分にあった環境で働くにはどうしたらいいかを考えることが大切です。「問題を1人で解決しなければならない」という考え方から「周囲の人に頼ってもいい」という考え方に変えるために、医師と認知療法を進めることにしました。また、前職を続けたいBさんは、自分にあった環境で働けるかどうかを上司や職場の人に相談しました。仕事への不安から解放されたため、Bさんのうつ病の症状は次第に見られなくなりました。

これらの事例のように、うつ病になるきっかけは人それぞれであり、同じものはありません。マニュアル通りではなく、個人の症例に合わせた治療法を進めることが治療の鍵になるでしょう。

まとめ

認知療法は、自分や周囲へ良い影響がある考え方を身につけることを目的としています。認知のゆがみを直し、うつ病になった原因について話し合うことが治療の一環となります。心の視点を少し変えてみると、それまでとは違う世界が見えてくるでしょう。

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