うつ病が原因の血圧と血糖値の変調

うつ病を知る

うつ病は精神疾患の一種であり、脳の異常により心に症状が出る病気だと考えられています。しかし、実はうつ病が蝕むのは心だけではありません。病態によっては、身体的な症状が目立つケースも少なくないのです。心と同じように体も苦しんでいることを理解することが大切です。「うつ病は心に症状の出る病気だから体の異変とは無関係だ」と思い込まず、心と体の相互作用を知り、日頃から心身ともに労ることができるようにしましょう。今回は、うつ病が連れてくる思わぬ病気をご紹介します。

うつ病がバランスを崩壊させる!? うつ病がもたらす血圧と血糖値の変化

血圧の変化

脳は不安や緊張によってストレスを感じると、交感神経が「脳にかかったストレスに対応するために、もっと血液を多く送り出すように」と心臓に命令します。すると心臓はいつもより多くの血液を送り出し、血管にかかる圧力が大きくなります。これがストレスによる高血圧です。ストレスと血圧は脳とつながることで大きく関わっているのです。

うつ病の発症原因の一つにストレスが挙げられることからもわかるように、うつ病とストレスには密接した関係があります。ストレスがうつ病を発症させ、発症したうつ病がストレスを加速させるのです。その結果、うつ病によるストレスが高血圧症を招く恐れもあります。

また、うつ病の症状の一つである不眠や睡眠不足にも血圧が関係してきます。睡眠時間が不規則になると、覚醒時に活発になる交感神経の働きが乱れて血圧が不安定になります。いつまでも高血圧が改善できず、焦燥感からますます脳にストレスがかかってしまい、高血圧とうつ病を繰り返す構造ができあがってしまうこともあります。こういった患者の場合、まずはうつ病の症状を緩和することで、並行して高血圧の改善がみられるというケースも多々あります。

血糖値の変化

人間の体は、ストレスを感じると副腎皮質刺激ホルモンと呼ばれる成分を分泌します。これには血糖値を上げる働きがあるため、ストレスを感じると血糖値が上昇する傾向にあります。前述したように、ストレスとうつ病には密接な関係があるため、うつ病を患うと血糖値にも変化が表れるのです。

また、血糖値の上昇に応じてすい臓からインスリンが分泌されます。インスリンには肝臓に血液中の糖分を吸収するように指令をだし、血糖値が上がりすぎることを防ぐ働きがあります。インスリンを分泌できる器官は、すい臓だけです。もし何らかの原因ですい臓の機能が弱ってしまい、インスリンの分泌が正常に働かなくなってしまったら、血糖値のバランスは崩れてしまいます。まったく分泌されなくなってしまえば、血糖値の上昇を抑えることができなくなり糖尿病に、また、過剰にインスリンが分泌されてしまうと血糖値が下がり過ぎてしまい低血糖症になる恐れがあります。

ストレスが血糖値を上昇させ、血糖値の上昇に伴ってインスリンが分泌されます。継続的にストレスを感じる状況が続ければ、血糖値の上昇もインスリンの分泌も止まりません。その結果、インスリンを分泌しているすい臓の働きが弱ってしまい、糖尿病や低血糖など、血糖値の変化による病気になってしまうことがあります。

元気な体でいるために、上手なストレス解消を

ストレスは人間の体を混乱させ、様々な悪影響を及ぼします。ストレスにより免疫力が低下し、がんのリスクが高くなるとも言われています。これからの研究に期待するとともに、自分にあったストレス解消法を見つけることも、健康な体と心を保つ大切な心構えです。笑う、泣くといった感情での発散方法や、部屋の整理整頓や散歩など体を動かすことも、体に大きな負荷を与えない健康的なストレス発散方法として知られています。

まとめ

うつ病が意外な病気を引き起こす可能性があるということ、ご理解いただけましたでしょうか。うつ病と体の不調は関係ないと思い込み、見逃し続けてはいけません。心と体は脳でつながっていて、脳にストレスがかかると心だけでなく体までバランスを崩してしまうことがあるのです。血圧や血糖値の変化は、定期的に測定しなければ自覚することの難しい問題です。自覚できないまま、気づいたときには重大な病気にまで発展していることもあります。健康診断で血圧や血糖値に大きな変化がみられたら、日頃の生活習慣だけでなくストレスについても見直してみるといいでしょう。

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