健康保険が使えない場合は傷病手当金を検討する

うつ病を知る

業務には関係のないことが原因でうつ病となり、療養のために会社を休まなくてはいけないことになった……。原因が業務以外にあるため、健康保険は使えず、会社を休んでしまうと治療や生活のためのお金がない。養うべき家族がいる場合は、事態はもっと深刻です。こうした状態を解決するための「傷病手当金」について、今回はお話しましょう。傷病手当金のシステムの他、申請するときのちょっとした気遣いについてもご紹介します。

 

うつ病の原因が業務外で休業する場合、「傷病手当金」に頼る

まず傷病手当金について知ろう

会社の用意した健康保険に入っている従業員が、業務外の原因で起こした病気で休業したときに、被保険者やその家族の生活を保障するための制度が傷病手当金です。被保険者がケガや病気で業務に就けず、十分な収入が得られないときに支給されます。支給を受けるには、診断書や「健康保険傷病手当金支給申請書」という書類が必要になります。これは傷病手当金の申し込みがあったときに会社側が用意することがほとんどです。 傷病手当金の支給を受けるには条件があります。

 

●業務外の事由によるケガや病気が理由であること

会社の健康保険を使わない自費での治療や自宅療養の場合もこれに該当します。業務上の理由や通勤災害によるケガや病気は労災保険の扱いになり、美容整形など病気とみなされないものに関しては支給の対象外です。

 

●就業が不可能であること

ケガや病気によって就業不可能な状態であることを、医師など療養担当者の意見を元に、被保険者である従業員の仕事内容を考慮して判断します。病名はほとんど関係なく、ケガや病気が業務に支障を及ぼすか否かが主な判断材料です。

 

●連続する3日間を含むその後4日以上就業できなかったこと

ケガや病気が理由で連続して3日間休業(待機)し、その後4日以上連続した欠勤に対して支払われます。3日間の休業(待機)の後、1日だけ出勤したあと4日以上の欠勤があれば、4日以上の欠勤に対して傷病手当金が払われます。2日間の待機の後出勤した場合は、3日間の待機期間が完成せず、その期間に対する支払いが発生しません。3日間の待機期間が確実にあれば、その後の長期休業に対して傷病手当金が支払われます。

 

●休業期間に給与の支払いがされないこと

業務外のケガや病気で療養するため期間の生活を保障する制度のため、給料の支払いがある場合は支給の対象になりません。ただし給料の支払額は傷病手当金よりも少なかった場合、差額が支給されます。

以上が傷病手当金の基本的な条件です。うつ病の原因が業務外であった場合、傷病手当金に支給条件となるので申請することが可能です。

 

うつ病で傷病手当金の支給を受けるときに大切なこと

うつ病で休業し、手当を受け取るときにはいくつかポイントがあります。ちょっとしたことですが、押さえておくとトラブルを少なくすることができます。

 

●「診断書」や「健康保険傷病手当金支給申請書」に医師の意見を書いてもらうときの費用

診断書の発行は、診察料とはまた別に費用がかかり、自費で支払うことになります。病院によって差はあるものの、1,000円から3,000円弱ほどの見込みです。

健康保険傷病手当金申請書に意見を書いてもらう場合は、保険料の点数が決められています。こちらの場合は100点(1,000円)となっています。また、健康保険傷病手当金申請書を交付されるときにも別途費用がかかりますので、注意しましょう。どの費用が支給対象で、どの費用が支給対象外なのかを把握しておくことがトラブルを未然に防ぎます。

また、医師の意見を書類に書いてもらうときに、健康保険が適応できない場合があります。うつ病の治療を健康保険で受けていた場合は3割負担の300円、自由診療で治療していた場合は全額負担の1,000円になります。こういった細かい費用の違いにも気をつけておきましょう。

 

●書類に関する手続きは「してもらって当たり前」ではない

2012年に行われた医療文書作成業務の実態調査によれば、医療文書の作成は医師にとっての負担が大きく、積極的に行う医師があまりいないそうです。本業である診療や手術といった業務に加えて医療文書の作成を行っているわけですから、負担が大きくなるというのもうなずけます。医師の意見を書いてもらうときは「お手数をおかけしますが、どうぞよろしくお願いします」と丁寧な姿勢でお願いすることが、手続きのみならず医師との関係をも円滑に進めることにつながります。

会社に対しても同様です。保険関係の担当者が処理をすることがほとんどでしょうが、申請書や診断書の他にも会社側が用意する添付書類の準備は、想像よりも手間がかかります。書類を渡すときは「いつも迅速な対応をしてくださり助かっています。ありがとうございます」とお礼を添えたり、郵送する場合にも感謝の言葉を一筆添えて送ることで、担当者の心象もずいぶんと違うものになるでしょう。書類仕事をしてもらうのを当たり前と捉えず、日常の業務と同じように感謝の言葉とコミュニケーションを大切にしましょう。書類や金銭トラブルだけでなく、人と人とのトラブルを未然に防ぎ、円満に休業、治療するためのポイントです。

まとめ

傷病手当金の支給に病名はほとんど関係なく、「ケガや病気が原因で業務に就けない状態にあるか否か」が大切であることや、保険の有無によって申請までにかかる費用の違いなどをお話しました。傷病手当金を利用するときの参考にしてみてください。

会社を休業するということは、他人には踏み込むことのできないデリケートな問題です。ある程度の事情はオープンにしておき、周囲の方々から疑問や反感を買うリスクを少しでも抑えましょう。うつ病についての周知を会社にお願いしておくことも、自分のためのアフターケアになります。

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