自律神経失調症とうつには違いがある

うつ病を知る

自律神経失調症とうつとでは、根本的な原因が違います。自律神経失調症は、自律神経が正しく機能しないことによって発生する症状を網羅する呼び名です。自律神経は体内各所の機能を調整する役割をしていますが、自分の意思では動かせません。交感神経と副交感神経の2種類があり、交感神経はアクセル、副交感神経はブレーキのような役割をする神経です。この2つの神経がバランスを取ることで、正常な状態を保っています。自律神経失調とは、2つの神経のバランスがうまくとれていない状態です。同時に複数の症状が現れ、時間の経過とともに現れる症状が変化するという特徴もあります。

 

それに対して、うつは、脳内の神経伝達物質の分泌が異常な状態になり、神経細胞で情報伝達がうまくいかなくなったことによって起こる病気です。脳内での情報伝達がうまくいかないので、正常な判断ができません。脳内で正しい判断が行われないことによって症状が発生するため、否定的、悲観的な見方や考え方になりやすいのが特徴です。表面的に現れる症状が似ていても、自律神経失調症は症状の総称、うつは精神の病気という違いがあります。

 

「自律神経失調症」ってなんだろう

自律神経失調症の症状は多岐に渡ります。なぜなら、自律神経は、自分の意思では制御できないあらゆる部分の機能を調節している神経だからです。外気の変化など、外部の刺激などに応じて、逆の働きをする交感神経、副交感神経がバランスを取りながら各所の機能を調節します。たとえば、脈を速くしたり遅くしたりするのは心臓の機能を調節する自律神経の働きです。内臓の機能や排せつ、体温調節、睡眠、細胞の修復など、身体の中で行われている基本的な機能のほとんどに自律神経が関わっているといっても過言ではありません。

 

自律神経失調症とは、ストレスがかかったり、ホルモンの分泌が乱れたりしたことによって、交感神経、副交感神経のバランスが崩れたときに起こる症状です。正常な調整ができなくなっている症状すべてを指すものなので、どの部分を調節する自律神経のバランスが乱れているかによって、現れる症状が変わります。

 

「うつ病」ってなんだろう

脳内で神経伝達物質の分泌が正常に行われなくなると発症するのがうつ病です。神経伝達物質の分泌が異常になる原因として考えられることは3つあります。生まれつきの体質、脳内神経細胞の変化、精神的なストレスの3つです。脳の病気であるにも関わらず、うつ病は心の病気だといわれることが多いのは、脳内で数多くの細胞がそれぞれ情報伝達を繰り返すことによって感情が生まれるからです。脳内で正しく情報が伝達されなくなると、物事を認知できないということだけでは済みません。感情や考え方にも影響が出るのが普通です。

 

うつ病のなりやすさには生まれつき個人差があります。脳内神経細胞の形が変化すれば、それまで受け取れていた情報が受け取れなくなってしまっても仕方がありません。強い精神的なストレスがかかり、正常に情報伝達できなくなったとき、脳内神経細胞が形を変えて対応することもあるでしょう。うつ病によって考え方に変化が起こるのは、神経細胞の形が変わるからではないかという研究報告もあります。

 

うつ病の症状は、身体の不調と心の不調の両面で現れることが多く、いずれも自律神経失調症の症状と似ています。ただし、うつ病の場合は、初期の段階では精神的な症状を自覚できないことが多く、気付かず重症化させてしまうことも少なくありません。他の病気とは違い、血液検査やレントゲンなどでは判断が付かないため、専門医による診断が必要です。

 

自律神経失調症からうつ病へ。またその逆も

自律神経失調症とうつ病とは発症の仕組みが違います。しかし、自律神経失調症が悪化した結果、うつ病になってしまうということもあるので注意が必要です。自律神経失調症では、交感神経と副交感神経のバランスが乱れています。交感神経が優位な状態が続いていれば、身体は疲れ切っていても、無理すれば何でもできてしまう状態です。副交感神経が働かない状態は、ブレーキの利かない車でアクセルを踏み続けているのと同じといえます。脳にもストレスをかけ続けながら、ガソリンを使い切って動けなるまで走り続けている状態です。無理をして気力もなくなるまで走り続ければ、うつ病になってしまいます。

 

逆にうつ病から自律神経失調症になっていくパターンもあるでしょう。脳内の神経伝達がうまくいかなくなり、うつ病を発症した後で、自律神経のバランスが崩れていくケースです。自律神経失調症として、身体の至るところで、さまざまな症状が起こり得ます。

 

それぞれ受診する病院は違うの?

自律神経失調症とうつ病のどちらかの症状に該当する、あるいはどちらにも該当するという人は、なるべく早く専門医の診察を受けましょう。症状が軽いうちに治療を始めれば、不快症状も早く軽減します。では、自律神経失調症やうつ病は何科を受診すれば良いのでしょうか。うつ病の場合は、心の病気ですから、精神科や心療内科などを受診します。

 

一方、自律神経失調症の場合、はっきりした病名がわからないうちは、もっとも強く出ている身体症状に注目しなければなりません。身体症状がストレスによる自律神経の乱れによるものなのか、別の病気によるものなのかをはっきりさせる必要があるからです。吐き気や下痢、微熱などがあるときは内科、のどの違和感が強いときは耳鼻咽喉科、肩こりや腰痛がひどいときは整形外科を先に受診するようにします。ストレスが原因だと思われる場合でも、自律神経失調症の症状を起こしやすい甲状腺機能異常症や糖尿病については、内科などで先に血液検査を受け、病気の有無を確認しておくことが大事です。

 

心が疲れきる前に受診しよう

自律神経失調症とうつ病は似た症状でも原因や発症の仕組みが違います。治療方法も異なるので、症状が気になったら、できるだけ早く病院を受診しましょう。何科を受診すれば良いかわからないなら、もっとも気になる症状を治すためには何科を受診すれば良いかを考えます。放っておくと悪化して治るのも遅くなってしまうでしょう。心が疲れきって動けなくなる前に、治療をスタートさせることが大切です。

 

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