うつ病が血液検査で特定できる時代へと近づいている。検査と診断方法

うつ病を知る

うつ病は症状が軽いうちに適切な投薬治療を始めることが大事です。しかし、問診に頼る診断方法では、初期のうつ病を他の精神疾患や自律神経と見分けるのは容易なことではありません。うつ病も問診以外に客観的な基準を設けて、特定しやすくする必要があります。この記事では、将来的には可能になるといわれているうつ病の血液検査について解説します。

 

うつ病の血液検査|心の変化によって変わる数値

まだ実現していないうつ病の血液検査が、将来的には可能になるといわれているのには理由があります。人が強いストレスやプレッシャーにさらされ続けると、血中PEA濃度の数値が上昇することがわかったからです。しかも、血中PEA濃度の変化は、病名によって異なります。一定の範囲にそれぞれの病名が収まれば、1回の血液検査だけでも病名の特定が可能だということです。そうなれば、受け答えが難しい状態でも、早い段階で病名の特定ができます。

 

血液検査が優れているのは、うつ病かうつ病でないかだけでなく、数値によってうつ病の程度まで判断できる点です。問診では患者の発する言葉から症状を推察するしかありません。尋ね方によっては、患者の回答が変わってしまう可能性もあります。回答が変われば、病名の特定にも影響するので、どのような病名が付くかは面接する医師次第というのが現状です。その点、血液検査の数値から病気の程度まで診断できれば、診断ミスが減るうえに、的確な治療も受けやすくなるでしょう。

 

血液でうつ病を特定するのはまだ難しい

血液検査によるうつ病の診断は、9割以上の精度にまで達しているといわれています。ですから、血液でうつ病を特定すること自体は難しいことではなくなってきています。しかし、現実にうつ病の特定に利用できるかというと話は別です。まだ日本中の病院で導入できるような段階ではありません。完成形に近い技術ですが、導入を阻む大きな壁があるというのが現状です。

 

実は、現段階の技術をそのまま導入すると、うつ病の血液検査料は数十万円という高額になってしまいます。これでは受けられる人が限られるのはもちろん、たとえ金銭的に余裕があっても受ける人はいないでしょう。うつ病の診断は、制度に問題があっても問診でできるからです。血液検査によるうつ病の診断を普及させるためには、質量分析計以外の方法でPEA濃度の測定をできるようにする必要があります。保険適用で安く血液検査できるようになれば、導入する医療機関も増え、普及していくでしょう。

 

うつ病の検査で脳波を見る理由

客観的なデータによる病名の特定が難しい精神疾患の分野ですが、うつ病は、病名特定の段階で問診や血液検査以外の方法を用いることがあります。たとえば、脳波検査やCT検査などです。ただし、脳波検査やCT検査を単独で行って、うつ病の診断を下すわけではありません。脳波検査やCT検査は他の病気と区別をつけたいときに行います。うつ病と症状が似ている病気がたくさんあるからです。精神的な症状が見られても、実は原因は内科的な病気だったということもあります。甲状腺機能異常症や糖尿病との区別をつけるためにも必要な検査です。

 

特に、統合失調症や双極性障害との区別は早い段階で付けておく必要があります。治療方法や治療に用いる薬が異なるからです。NIRSを用いた光トポグラフィー検査も統合失調症や双極性障害との区別に有効だといわれています。血液検査のように1つの客観的データで病名を特定することは難しくても、複数の検査を組み合わせれば、より正確な診断を下すことは可能です。

 

うつ病の診断方法とその基準

現状のうつ病診断で実際に行われているのは、精神科的診断面接とも呼ばれる面談による問診です。患者本人や家族とじっくり話をしながら、いつ頃からどのような症状に悩んでいるのか、原因は何なのかなどを探っていきます。うつ病の発症には、生活環境などが大きく影響しているので、時間をかけて必要な情報を集める方法です。必要な情報が集まらないと、治療方針を立てることができません。最初の診断を下せるようになるまでには、1時間くらいかかるのが一般的です。

 

うつ病を特定するまでに1時間程度の面接が必要というのは、医師にとっても患者にとっても楽なことではありません。病名を特定するまでにかかる1時間を確保することすら難しいという人もいるでしょう。医師の側からすれば、1人の病名を特定するのに1時間かかれば、診られる患者の数が限られてしまいます。

 

また、問診の場合、診断の基準になるのは患者の言葉です。捉え方によって回答が変わってしまうような聞き方をしたのでは結果が違ってしまいます。診断に有効な回答を引き出すように聞く必要があるので、医師の力量が問われます。

 

現状で大事なのは正しく症状を伝えること

血液検査によるうつ病の特定が技術的には可能になりましたが、導入はまだ先のことになりそうです。現状では、うつ病の特定は専門医の面接に頼らざるを得ません。正しい診断をしてもらうためには、包み隠さず症状や気になっていることを伝えることが重要です。診察ではなく、相談に乗ってもらうような気持ちで臨みましょう。感じている不安や不快な症状を正直に伝えれば、しっかり受け止めてもらえます。

 

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