睡眠時無呼吸症候群(SAS)が招くうつ病リスク

うつ病の治療

睡眠時無呼吸症候群(以下SAS)、という病気をご存じでしょうか。

これは、睡眠中に一時的に呼吸が止まる病気で、主に肥満が原因だとされています。

そしてSASは、うつ病と関連の深い病気であることが分かっています。

主な関係性としては、SASを発症しているとうつ病も発症しやすくなる、という点が挙げられます。

この関係性は、睡眠の質が深く関係しており、SASを改善することでうつ病の症状も改善されると考えられています。

それでは、SAS改善のためにはどのような点に気をつければよいのか、ご紹介していきましょう。

SASで脳機能が低下してうつ病に! 早期に発見してSASを先に治す

脳が休めない病気、SAS

SASは、舌が落ちて喉が塞がれることなどが原因となり、睡眠中に呼吸が止まってしまう病気です。具体的には、10秒以上の呼吸停止が一晩のうちに30回、あるいは1時間のうちに5回あればSASと診断されます。

SASは肥満の人がなる病気、というイメージがあるかもしれませんが、肥満の人に多いだけで、SAS患者の約30%は肥満体型ではありません。SASは肥満以外にも、骨格の性質などにも原因があるとされています。

SASの症状が表れると、10秒以上呼吸ができないため、その間、酸素が体に取り込まれません。酸欠の影響を真っ先に受けるのが、脳です。脳が酸欠状態になると全体的な機能が低下し、場合によっては各機能の損失につながります。

脳機能の低下が起こると、うつ病を発症しやすくなるとされています。うつ病は脳の前頭前野と呼ばれる部分の機能が低下し、前頭前野にあるセロトニン神経が上手く働かなくなることで発症すると考えられています。

セロトニン神経は安堵感を司り、感情の暴走を抑える働きがあり、うつ病に深く関わっているとされる神経です。そのため、脳機能の低下を招くSASからうつ病を発症することがあるのです。

また、SASの症状が表れると、少ない酸素でどうにか活動しようとして脳が覚醒状態になります。そのため、SAS患者は深い睡眠ができなくなり、脳が十分な休息を取れません。

そして深夜に起きてしまったり、日中に強烈な眠気に襲われたりなどの不眠の症状があらわれます。

脳が休息を取れなくなると、精神のバランスを整えるのが難しくなり、うつ病を発症する可能性が高くなります。

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互いに影響しあうSASとうつ病

以上の理由から、SASを発症するとうつ病も発症しやすくなることがわかります。2000年の疫学調査によると、SASとうつ病は互いに18%の割合で合併することが分かっています。つまり、SAS患者のうち18%はうつ病にもかかっており、うつ病患者の18%はSASにもかかっている、ということです。

SASとうつ病を併発していると、うつ病の治療が困難になります。専門機関の報告によると、SASとうつ病を併発している場合、抗うつ剤の一つ「SSRI」の効果が減少するとされているのです。

つまり、合併率が18%あるので、約5人に1人のうつ病患者は十分な抗うつ剤の効果を得られていない可能性があります。

また、SASとうつ病は症状が似通っている部分もあります。SASの特徴的な症状である眠気と、うつ病の特徴的な症状である倦怠感・無気力感は、ともに朝から夕方にかけて表れ、夜になると和らぐのです。そのため、SASを発症していることに気づかず、うつ病の治療のみを続けてしまう可能性があります。

睡眠の質を正し、SASもうつ病も改善

以上の理由から、SASを早期発見し、先に治療することが大切だといえます。SASは自覚するのがほとんど不可能の病気ですが、簡易検査により簡単に発見できます。治療では、専用のマウスピースや機械を使用するなどして無呼吸の状態を作らないようにします。

また、生活習慣を整え、睡眠の質を改善していくことも大切です。特に気をつけたいのは、過眠です。

睡眠不足は脳の疲れを招きますが、寝すぎても脳が休息できないことが分かっています。これは、睡眠時間が増すことで眠りがどんどん浅くなり、中途覚醒が増えてしまうためです。

適切な睡眠時間は、7時間程度だといわれているので、この時間を目安に起床するようにしましょう。

まとめ

このように、睡眠時無呼吸症候群とうつ病は関係の深い病気だといえます。

SASを治療することでうつ病もそのまま改善されたというケースもありますので、うつ病を治療する際にはSASも疑い、医師に相談してみましょう。

うつ病どうか判別が難しいケースもありますので、問診に加え、検査による客観的な数値を判断に加えることも検討するとよいでしょう。

参考: うつ病を可視化した光トポグラフィーの効用とは

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