認知療法を用いてうつ病のマイナス思考を改善

うつ病の治療

 

うつ病の症状で本当に怖いのは、一度始まったマイナス思考から抜けられないという点です。辛いことや嫌なことがあれば、誰でもマイナス思考に陥ってしまいますが、通常であれば立ち直ることができます。しかし、うつ病の場合はふとしたきっかけでマイナス思考が始まると、ずっとそのことを考え続け、周りの声も耳に入らなくなります。このマイナス思考を改善するために行われるのが、認知療法です。ここでは、認知療法がもたらす効果や、認知療法の具体的な例についてご紹介します。

マイナス思考を中断させる認知療法で、うつ病の症状を緩和しよう!

うつ病の仕組みと認知療法がもたらす効果

うつ病の原因はまだはっきりとは解明されていませんが、脳の前頭前野という部位の異常が深く関わっていると考えられています。前頭前野は人間の脳で最も発達した部位であり、記憶や認知、意思決定、行動の切り替えなど、およそ「思考」に関する機能の中枢を担っています。前頭前野が機能するためには、さまざまな脳内伝達物質の働きが必要となります。伝達物質の一つに、うつ病と関係が深いと言われている「セロトニン」があります。セロトニンは前頭前野において、抑制の働きをします。つまり、怒りや不安などのマイナス思考が表れたときに、その感情を抑えて気持ちを落ち着ける作用があるのです。

セロトニンが不足すると、前頭前野は緊張状態から抜け出せなくなります。これが、うつ病の正体だと言われています。うつ病でない人はマイナス思考に陥っても、セロトニンが前頭前野の緊張を静めてくれるため、しばらくすると立ち直ることができます。しかしうつ病患者は緊張状態が続くため、いつまでもマイナス思考にとらわれたままです。

マイナス思考を改善するためには、認知療法が効果的です。認知療法は考え方を変えることで思考を整理しようという療法で、特に行動が伴う場合は認知行動療法とも呼ばれます。認知療法を行うとマイナス思考を続けるだけだった思考を変えることができ、落ち着いた気分を取り戻すことができます。これを続けることでマイナス思考から脱却するまでのタイミングが早くなり、うつ病の症状を改善することができます。

マイナス思考を中断する認知療法

その認知療法にはさまざまな方法があります。ここでは、その内の一つである「思考中断法」についてご紹介します。思考中断法は、認知療法のなかでも最もシンプルなタイプです。しかし、すぐにできるようになるものではないので、何度も繰り返し試すことが大切です。

思考中断法には2つの段階があります。1つめは、マイナス思考に陥っている自分に気づくことです。マイナス思考に陥っていると自覚できたら、「あ、今自分はマイナス思考に陥っているな」「また嫌なことを考えているな」という様に頭のなかで呟きましょう。このように、自分の思考をどこか離れたところから捉えることをメタ認知といいます。メタ認知は、最初は1時間や2時間など、かなりの時間を要する場合があります。しかし、メタ認知を意識して続けることで、この時間を30分、10分、1分というように縮めていくことができます。

2つめの段階はマイナス思考から脱することですが、メタ認知ができた時点で片足は脱することができているといえます。マイナス思考から脱するためには、何か別のことを行いましょう。行動の内容は別のことでも構いませんが、代表的なのは誰かと話すことです。近くに家族などがいるなら、話し相手になってもらいましょう。輪ゴムを使って手首や手の甲などをパチッと打つなど、身体のどこかを刺激する方法でも意識をそらすことができます。そのほか、歌う、走る、息を止める、深呼吸するなど、自分が続けられる行動を探してみましょう。

まとめ

認知療法は、ただ思考を改善するだけではなく、前頭前野の機能を回復させる効果もあります。そのため、うつ病治療において高い効果を発揮する治療法であると言えます。また、認知療法はうつ病にならないための予防としても行うことができます。上記を参考にして、うつ病の予防・改善に役立てましょう。

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