うつ病で「入院」を考えたほうがよいケースとは?

うつ病の治療

うつ病において、入院はあくまで病状の悪化や最悪のケースを回避するための予防措置です。自宅よりも病院のほうがより専門的で効果的な治療ができる、というわけではないことをまずはご認識ください。うつ病の治療に近道はありません。継続的に根気よく、そして少しずつ心と身体の調子を整えていくことが何よりの治療なのです。

自宅療法が基本のうつ病で「入院」すべきケースについて

うつ病における「入院」治療は全うつ病患者数の1/4

厚生労働省の調べによれば、平成23年度の精神疾患患者数は約320万人、うつ病と診断された患者は約100万人で、そのうち入院した患者数は約25万人でした。このデータからもわかるように、うつ病の改善において、治療場所の主体となるのは病院ではなくご自宅なのです。

しかし、ときには治療の主体を病院に移し、入院しながらの治療が必要となる場合があります。うつ病の治療では、外来通院を続けながら自宅療養するケースがほとんどですが、それはうつ病の方にとって自宅の環境がもっともリラックスでき、ご家族のサポートを受けながら療養に専念することができるためです。しかし、自宅が静養に不向きな環境であったり、精神的に自宅では気が休まらないケースにおいては、自宅療養ではなく病院治療に切り替える必要性があります。

自宅療養と入院治療の切り替えは、医師から提案される場合がほとんどですが、必要に応じてご本人やご家族からも決断できるようにしておきましょう。どこで見極めるべきか、その判断のポイントをご紹介します。

 

環境的または精神的に自宅での療養に専念できないケース

●うつ病の方が一人になれる環境を用意できない

うつ病の治療において、休息が何よりも大切です。ときには一人きりになれる環境で、静かに心と身体を休めたいと思うこともあるのです。しかし、たとえばワンルームの部屋にご家族で暮らしているような環境では、常に傍に誰かがいる状況が続き、一人になることができません。「一人になりたい」と思っていてもそれが叶えられない状況が続くと、心と身体に負担がかかり病状が悪化してしまう恐れがあります。

●ご家族の理解が得られない

また、精神的にご自宅での療養が適さないケースも考えられます。たとえばうつ病の病態や治療方法についてご家族の理解が得られない状況では、自宅で療養している間も「怠惰だと思われているのではないか」「家事を手伝って家族の役に立たなくては」と思い込んでしまったり、あるいは実際にそのように言われてしまうことも。ご家族の理解が得られないと、自宅にいることそのものがストレスになってしまい、却って病状を悪化させてしまう恐れがあります。

 

最悪の事態に陥ることを食い止められないケース

●希死念慮、自殺行動

うつ病の症例に、希死念慮(きしねんりょ)があります。希死念慮とは「死ななくてはならない」と強く思い込んでしまうことで、このためにうつ病の方が自殺に及んでしまうことも少なくありません。急性期には自殺行動を起こすエネルギーもないため自殺行動に及ぶ危険性はあまり高くありませんが、治療を受けて心と身体が回復傾向を示し始める回復期には、咄嗟に自殺行動に及ぶリスクが高まります。そのため回復期には、これまで以上にうつ病の方に寄り添い、手厚いサポートを行うことが望まれます。仕事や家庭の事情で、ご家族では十分な気遣いができない環境では、入院して医師や看護師にサポート役を委ねましょう。

●うつ病の伝染

うつ病はウィルス性の病気ではないため、肉体的な接触で感染することはありません。しかし、精神的に伝染する危険性については警戒する必要があります。うつ病の方を献身的にサポートするあまり、それが精神的なストレスとなってしまってご家族や周囲の方までうつ病を発症してしまうことがあります。いわゆる、「介護うつ」です。

うつ病の方が本当に必要としていることを、一番身近なところからサポートできるのはご家族だけです。ですが、精神医療のプロではない人がうつ病の方の介護を続けることは、肉体的にも精神的にも大きな負担となります。それが原因でお互いがうつ病になってしまう共倒れ、連鎖的なうつ病の発症は避けなければなりません。

 

    • 寝ようとして布団に入っても一時間以上寝られない、眠りが浅くなりすぐに目が覚めてしまう

 

    • うつ病の方のサポートや仕事、家事などを放棄したくなる

 

    • 体調不良が続いているが夕方から夜にかけては回復する

 

こういったうつ病の前兆に心当たりがあるようであれば要注意。心と身体が悲鳴をあげているサインです。うつ病の方と話しあって、自宅療養から入院治療に切り替えてもらうことも考え始めましょう。

 

まとめ

「自宅は療養するのに相応しい環境ですか?」

「自宅で過ごすことはストレスになりませんか?」

うつ病治療を始めるとき、まずはご自身やご家族に向けてこう問いかけてみてください。もしも、自宅は治療に適さないと判断したときには、入院することも視野に含めて考えてみましょう。また、ご家族の方も本当にうつ病の方のサポートをしきれるかどうか、客観的に判断してみてください。受け入れる態勢が整わない状態でうつ病の方のサポートを請け負っても、良い結果には結びつきません。医師と相談しながら、何が最善の治療であるのかを今一度考えてみましょう。

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