魚の力を借りて、うつ病ストレス社会を泳ぐ

うつ病の治療

慢性的なストレス社会といわれる現代日本では、うつ病も「心の風邪」といわれるほどありふれた病気になりつつあります。ストレスという厳しい荒波が押し寄せる現代を泳ぐために、最近では日本人の食卓にもあまりあがらなくなった魚の力を借りてみましょう。魚に含まれる様々な栄養素がうつ病など精神疾患に有効であることは古くから知られており、食生活から精神疾患を改善する際には最も頼れる食材の一つなのです。今回は、魚に含まれる栄養素についてご紹介します。

うつ病予防・改善には欠かせないトリプトファンとDHAに注目

必須アミノ酸はうつ病への最大の対抗策

魚の中には、人間が体内で生成することができない「必須アミノ酸」が多く含まれています。実はこの必須アミノ酸が、うつ病の治療と大きく関わってくるのです。

必須アミノ酸の1つにトリプトファンという種類があります。このトリプトファンは、人間の身体の生体リズムや睡眠、感情の安定のほか、身体にあるいくつもの器官をバランスよく機能させているセロトニンの材料となるもの。トリプトファンが不足するとセロトニンが作られなくなり、生態リズムや精神状態のバランスが崩れてうつ病になりやすくなるため、トリプトファンを摂取することはとても重要なのです。

トリプトファンは、主にかつおやまぐろといった赤身魚、レバー、乳製品、大豆製品などに豊富に含まれています。炭水化物と同時に摂取すると吸収率が高まるため、和食なら米と魚の組み合わせ、洋食ならクリーム系のパスタなどがおすすめ。

含まれている食材が多いため、比較的簡単に必要量を摂取できるでしょう。ですが、摂りすぎには要注意。トリプトファアンは水に溶けにくい性質があり、体内に取り込むと長時間残留します。適度な量であれば問題ありませんが、行き過ぎた摂取は肝硬変を引き起こす危険性があります。1日の摂取量の目安は、子供の場合「体重×1mg」、成人の場合は「体重×2mg」です。意識してトリプトファンを摂取することは大切ですが、摂りすぎないよう注意しましょう。

近年注目の的になっている、DHAを含む必須脂肪酸 

魚には必須脂肪酸という分類の栄養素が含まれています。必須脂肪酸とは人間が体内で生成することができない栄養素のことで、先に述べた必須アミノ酸と同じように、食べ物から摂取しなければ体内に取り込むことができません。そんな必須脂肪酸の中でも代表的なのが、オメガ3系と呼ばれるものです。オメガ3系には、DHAやEPAといった有名なものがあり、特にDHAは精神疾患の治療における効果が期待されています。

「DHAを摂ると頭が良くなる」というのは、一般によく知られている話です。DHAに知能を高める作用があるかどうか、はっきりとしたことはまだわかっていません。ですが、DHAが人間の脳を構成する脂肪酸の主要成分であること、また摂取したDHAが脳に取り込まれることから、人間の脳に何らかの良い影響を及ぼすのではないかと考えられています。

DHAを使って行われた統計や実験

出産後の女性は、ホルモンの急激な低下から産後抑うつ症になりやすいといわれています。そこに着目した海外の研究者が、妊娠中の女性数人を対象にして、食生活に関する実験を行いました。ある妊婦には魚を中心とした食生活を送ってもらい、別の妊婦には魚をなるべく摂取しない食生活で出産まで過ごしてもらいました。その結果、魚を中心とした食生活をした妊婦は、産後抑うつ症の発症率が低くなったのです。

まとめ

魚は「ブレインフード」といわれ、脳に大きな影響を及ぼす食材として注目されています。未だに人間の脳についてわからないことも多いですが、DHAとの関わりは世界中で研究され、少しずつ解明されつつあります。必須アミノ酸と合わせてDHAを摂取するために、食生活に積極的に魚を取り入れてみてはいかがでしょうか。

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