起業家はなぜうつになりやすいのか?うつと向き合うセルフケア

うつ病の治療

一念発起して会社を辞めて、起業家へ。自分の会社を立ち上げ、メディアにも取り上げられるようになると、周囲からは華々しいイメージを持たれることも多くなります。しかし、その裏側では精神的な重圧に耐えられず、うつ病を発症してしまう起業家も少なくないのです。

 

ここでは、起業家がうつになりやすい原因やセルフケアの方法などを紹介します。

 

起業家がうつになる原因

 

起業家がうつになる原因として、まず資金繰りの問題が挙げられます。起業後、想定通りに顧客を集めることができなかったり、支出が嵩んでしまったりするケースは少なくありません。銀行口座の残高がどんどん減り続けていくとともに、焦りや不安はどんどん膨らんでいきます。また、取引先への支払いができない、従業員へ給与が払えないといった状態に追い込まれてしまったりすると、さらにうつ病を発症する可能性が高くなります。

 

反対に、想定以上に仕事に恵まれた場合にも注意が必要です。1人で会社を運営していたり、自分でなければ処理できない仕事が増えたりしてしまうと、仕事が増えるとともにスケジュール調整が難しくなります。それに伴って、十分な睡眠時間を確保できずに疲労が溜まってミスが増えたり、考え方がネガティブになったりしてこころの健康が損なわれるケースは少なくありません。

 

このほかにも、信頼していた社員や取引先などとトラブルが生じたり、顧客からのクレームや訴訟などがあったりして、神経をすり減らしてうつ病を発症してしまうケースは多いのです。一見華やかに見える起業家の世界ではありますが、会社勤めするよりも多大な責任が自分にのしかかってくることは念頭に置いておきましょう。

 

セルフメンタルケアを身につける

 

起業後うつ病を発症しないために、まず起業家として自分の仕事の進め方を決めておきましょう。リスクが大きい仕事はしない、自分で責任の取れる範囲の仕事を選ぶ、精神的負担の大きい人との付き合いは避けるなど、仕事のルールを決めておきます。また、事業をやめる、規模を縮小するといったラインを決めておくことも大切です。自分の会社が傾き借金が膨らんでくると、自分の状況を客観視できなくなって引き際を見失ってしまうケースは少なくありません。冷静な判断を下しやすい起業前の時期に、撤退の基準などをルール化しておきましょう。

 

加えて、起業後はどうしても会社や事業のことを四六時中考えがちな状況になります。それは必要なことではありますが、こころの健康と仕事の品質を保つためには適切に休養を取ることも必要です。どうしても仕事ばかりしてしまう人は、休養を取ることをルール化しましょう。月に2回は仕事と関係ない人と会う、毎週日曜日はサウナでのんびりする、週に1回はジムに通うなど、自分なりのストレス発散方法を見つけるだけで心と体をリラックスさせることができます。

 

もし事業に失敗してしまっても、そこで人生が終了するわけではありません。もし失敗しても、やり直すチャンスは必ずあると考え、深く思い詰めすぎないようにしましょう。もし可能であれば、事業の調子が良いときに具体的な損害額を算出しておくのも方法の1つです。事業に失敗したときの損害を客観視できれば、少なからず不安は軽減されますし、事業撤退後の見通しも立てやすくなります。

 

どうしてもつらいときは専門医に相談する

 

うつ病は、放置により悪化することはあっても改善することはほとんどない疾患です。そのため、2週間以上の長期間、常に気分が落ち込み、意欲や気力が低下しているような状態が続いているようであれば、早めに専門医に相談するようにしましょう。うつ病は、心療内科や精神科、精神神経科といった医療機関で診察を受けることができます。また、かかりつけの内科でも相談が可能です。食欲不振や倦怠感、不眠といったうつ病で現れやすい症状が、別の疾患によるものではないかを調べるための検査後、うつ病と診断されれば専門医の紹介を受けることができます。このほか、「メンタルクリニック」「メンタルヘルス科」などを標榜する医療機関でも治療を受けることが可能です。

 

うつ病の治療は、主に薬物治療と休養、精神療法によって進められます。うつ病の症状は個人差が大きいため、用いられる薬や治療の内容は一人ひとり異なります。そのため、うつ病の治療では医師と協力しながら治療を進めることがとても大切です。できる限り医師に自分の症状を伝えることはもちろん、治療の進め方をしっかり相談しましょう。医師との信頼関係を築くこともうつ病の治療には必要であるため、どうしても医師を信頼できない場合は病院を変えることも選択肢の1つとなります。

 

うつ病の治療は、症状の改善と悪化を繰り返しながら少しずつ良くなっていくものであるため、どうしても時間がかかります。焦らずにじっくりと治療に取り組み、決して自分の判断で薬の服用を中止したり減量したりしないようにしましょう。このような行為は副作用を生じやすくするだけではなく、症状の悪化を招く可能性が高いものです。不明点や不安点はその都度医師に相談し、納得しながら治療を進めていくようにしましょう。

 

家族がうつになったときのサポートとは

 

もし家族がうつ病を発症してしまったら、何よりも「安心して休養が取れる」環境を作るように心がけましょう。早く良くなって欲しいという気持ちが先行し、つい「頑張って」と声をかけたくなってしまいますが、これは逆効果です。うつ病の人にとって、励ましの言葉は「これ以上頑張れないのに、どうしたら良いのか」と焦りや不安を増長させるものでしかありません。「今まで頑張ってきたから、今はのんびり休む時間だね」と声をかけ、「休んでも良いんだ」と思ってもらうことが大切です。

 

合わせて、本人が何か話したそうな様子が見られれば、ゆっくり耳を傾けるよう心がけます。このとき、できる限り余計なアドバイスはしないようにして、本人が一番話したいことを理解するよう努めましょう。そうすることで、本人が不安に思っていることやうつ病発症の原因が見えてくることも多いのです。ただし、本人が話したくない様子であれば、無理に聞き出す必要はありません。話したくなるまで、そっと見守るようにしましょう。

 

家族がうつ病になったとき、最も注意しなければならないのは自殺企図です。「死にたい」「自分なんて生きていても仕方がない」などという言葉が現れ始めたら、病院に行くことを勧めてください。自殺企図が強いようであれば、病院で入院などの措置が取られることもありますので、できれば受診に付き添いましょう。自分の大切な人を守るためにも、いつもと違う言動があれば早めに対応できるよう注意し、見守ることが大切です。

 

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