心理検査って信頼できる?うつ病の心理検査の目的と種類

うつ病の治療

うつ病の診断をする際に心理検査を実施することがあります。オンライン上でもうつ病診断テストと題したものを目にする機会がよくありますが、どれくらいの信用度があるのでしょう。また、心理検査はどのような理由で必要なのでしょうか。今回はうつ病の診断に用いられる心理検査のなかでも、特によく用いられる検査について紹介しています。

うつ病で心理検査を行う目的とは?

ケガをして病院に行くと、医師は傷口を見て縫ったほうがよいのか、抗生剤を処方するべきか、ガーゼ保護で様子を見るのか判断することができます。もちろん、患者本人の症状の訴えを聴くことも大切ですが、客観的に見て判断ができるという点では診断しやすいと言えるでしょう。一方、うつ病の診断になると、辛い症状が一体どれくらい辛いものか、どれほどの悲しみを抱えているのか、程度を伝えることは簡単ではありません。したがって、判断が難しく経験の積んだ医師であっても迷うことは少なくないのです。そういったときに症状を客観的に数値で表そうとしたものが、うつ病の診断で用いられる心理検査です。診断をするうえで症状を客観的に見るために役に立ちます。心理検査といっても1つではなく、幾つかの種類があり、それぞれで特徴が違います。そのうちの3つ、どれも世界的に用いられている信頼の高いものを以降の段落で紹介します。

世界的にも有名なHAM-D

HAM-DとはHamilton Depression Rating Scale:HDRSのことで、ハミルトンうつ病評価尺度とも呼ばれています。1960年にハミルトン氏によって作成されたもので、幾度か改定されて現在でも世界中で使用されているうつ病の心理検査です。評価尺度はHAM-D17、HAM-D21、HAM-D24、HAM-D29などと呼ばれ、数字の数が質問の数になっています。各質問に対して回答が2個から5個ほど用意されていて、一番適したものを選ぶことで点数化していきます。ただし、患者本人が自分で選択するのではなく、心理検査を行っている人が患者の様子から一番近い状態であるものを選ぶかたちになっています。質問項目を詳しく見てみると「抑うつ気分」「罪責感」「自殺傾向」「入眠困難」などをはじめ「精神運動抑制(思考や会話が遅くなる、集中力が落ちる、自発的運動の現象)」「身体的不安(胃腸症状や動悸、頭痛、過呼吸など不安に伴う身体症状)」「生殖器症状(性欲の低下、生理不順など)」などがあります。これらの質問に対して、ひとつずつ確認して最も適していると考える回答を検査者が選んでいきます。検査の結果、合計点が多いほど重症度が高いことになります。検査時間は個人差がありますが20分程度要するでしょう。

簡単に自己診断ができるCES-D

CES-DとはCenter for Epidemiologic Studies Depression scaleの略です。一般の人でも自己判断ができるようにと、アメリカにおいて開発された検査です。うつ病の心理検査が比較的に長い時間を必要とするのに対して、CES-Dは5分程度で終了する簡単な検査になります。それでいて、うつ病の診断精度は70%~90%といわれています。

質問は20項目で「集中することができない」「熟睡できない」「自分の人生は失敗だった」などといった内容です。ここ1週間の自分の状態を振り返って答えます。全くない、1日~2日あるなど、段階式で4つの選択肢が用意されています。自分一人で質問に答えて記入していくタイプの検査なので、インターネットでうつ病の自己診断を行なうものとしても利用されています。

QIDS-Jも簡単に自分でできるうつ病の診断検査

QIDS-JとはQuick Inventory of Depressive Symptomatology:QIDS –Jのことで、世界的に有名な精神科医によって開発された心理検査です。SES-D同様に自分で質問に回答することができるので、インターネット上においても受けることが可能になっています。質問内容は「寝つき」「夜間の睡眠」「早くに目が覚めすぎる」「眠りすぎる」など16項目で構成されていて、回答は4つの中から一番近いものを選択する形になっています。所要時間5分程度で、うつ病で集中力が低下していても行うことができます。そもそも、うつ病の診断基準には主に2つが用いられることが多いです。1つがアメリカの精神学会のもので、もう1つが世界保健機構WHOによるものです。QIDS-Jの検査はアメリカ精神学会の診断基準に沿って作られています。したがって、QIDS-J検査を受けてうつ病の疑いが診断されると、アメリカの精神学会によるうつ病の診断基準を満たす可能性が非常に高いということになります。

うつ病の心理検査は簡単に受けられて便利だが確定診断ではない

うつ病の心理検査にも幾つかの種類があり、自分でできるものから、検査者によってなされるものなどあることがわかりました。なかにはインターネットで簡単に検査を受けることができるものもあります。ただし、簡単ではありますが注意も必要です。たとえ「うつ病の疑いが強い」という検査結果が出たとしても、必ずしもうつ病であるということにはならないということです。心理検査はあくまでもうつ病の診断をするうえでの大事な診断材料のひとつです。心理検査のほかにも症状がどれくらい続いているのか、既往歴や服用している薬などはないのかなど、さまざまな情報から総合的に専門家が診断をすることになります。もし、オンライン検査などでうつ病の疑いが強いという結果が出たのであれば「私はうつ病だ」と自己判断するのではなく、まずは専門家を受診するようにしてください。

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