うつ磁気刺激治療(TMS)について

うつ病の治療

うつ病の治療の基本は休息と薬だといわれています。さらにカウンセリングを行い物事の考え方を改めたりしながら、時間をかけて回復を目指していくことが一般的です。しかし、何年治療しても効果が見られない人や、短いスパンで再発を繰り返す人も多く、より効果のある治療法が望まれています。そんな中、うつ病の治療も従来のものから進化を遂げ、医療の最先端をいくアメリカではうつ磁気刺激治療(TMS)という治療法がうつ病に効果があると認められ、注目されています。今回はうつ磁気刺激治療(TMS)についてご紹介していきます。

うつ磁気刺激治療(TMS)の特徴

うつ磁気刺激治療(TMS)とは、正式名を経頭蓋磁気刺激治療といい、Transcranial(頭蓋骨) Magnetic(磁気) Stimulation(刺激)の頭文字をとってTMSと呼ばれています。これは頭蓋骨の外側から特定部位に向けて磁気刺激を与え、低下した脳の機能をもとにもどしていく治療法のことです。

うつ病になるメカニズムは完全には解明されていませんが、主にストレスが原因で脳内の神経伝達物質が減少し、脳の機能低下を招くことで発症するといわれています。TMS治療は、この脳の機能そのものに着目し、うつ病との関連性が高いとされる「DLPFC(背外側前頭前野)」を標的にして、磁気刺激を与えていきます。DLPFCは左の大脳皮質にあり、感情や意欲に深いかかわりをもつ部分です。これを刺激して活性化させることで、感情のバランスを整えたり、やる気や興味といった意欲を取り戻す効果が期待されています。

磁気刺激といってもほとんど苦痛はなく、通院しながら続けることが一般的です。日本でも一部の医療機関で採用されており、その活躍はうつ病治療にとどまらず脳卒中後のリハビリとしても使用されています。1回の治療時間は40分程で、これを週に5日、3~5週間継続して行います。

こんなときにおすすめ

うつ病は内服治療をすすめながら心身をゆっくり休めることが大切だといわれますが、うつ病になりやすい人はまじめで責任感が強い傾向があるといわれており、仕事を休んだり、忙しい生活の中で休息を取ることは非常に難しいことなのかもしれません。また、抗うつ剤はその種類や体質によっても異なりますが、頭痛や口の渇き、眠気や胃腸障害といった副作用が出るケースも多く、即効性のある薬ではないので、それなりの時間をかけて根気よく治療を続けていく必要があります。

一方TMS治療は、脳の神経を刺激するので、治療中に軽い不快感を覚えることはあるかもしれませんが、副作用はほとんどないとされています。うつ病の治療はしたいけれど、副作用が強いと日常生活に支障がでるという人や、通院しながら効果的な治療を試してみたいという人にもTMS治療はおすすめです。また、抗うつ薬が効きにくい「治療抵抗性うつ病」と診断されている場合でも、TMS治療の効果は認められています。

他の治療法と比べた費用や副作用の違い

“TMS治療はメディアでも大きく取り上げられ、注目度は高まっているといえますが、うつ病の治療法としては正式に認可されていないため、保険がききません。だいたい1回の治療でかかる費用は2~3万円ほどで、数週間は続けることが望ましいとされています。

うつ病の治療には投薬治療のほかにも、電気けいれん療法(ECT)があります。これは左右のこめかみから電気を流し、脳に刺激を与える方法ですが、全身麻酔での治療になり入院するのが一般的です。治療期間は数週間から数カ月に及ぶとされ、その費用は入院費を含めると50万~70万ほどになります。

ECTは体にも負担がかかり、治療直後の嘔吐や血圧上昇、頻脈や頭痛、筋肉痛、意識障害などの副作用を伴うケースも少なくありません。

また、その効果には持続性に欠けることが挙げられており、治療後もその状態を維持するために投薬を行ったり、定期的にECTを行わなければならない場合もあります。投薬治療とECTに共通することは副作用があり時間もかかる、ということですが TMS治療は通院による治療が可能で、その期間は1カ月半ほどと短く、副作用もほとんどありません。

まとめ

TMS治療は、さまざまなうつ病治療のなかでも決して安くはない治療法といえます。しかし、場合によっては副作用が見られる投薬治療では、長期になればなるほどその費用は大きくなり、またその効果はなかなか実感しづらいといった声も聞かれます。TMS治療は従来までとは違った面からうつ病にアプローチすることによって、副作用や治療期間といった問題を最小限にし、画期的な治療法としてその効果も高く評価されています。また、これまでに思うような効果が得られなかったという人でも、効果を実感できたといわれるケースは少なくないため、一度検討してみるのも良いかもしれません。ただし、心疾患を抱えている人や、投薬ポンプ、人工内耳、ペースメーカー、DBS(体内刺激装置)などを持っている人には施術できないこともありますので、希望される場合は必ず医師にご相談ください。

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