心を休ませてあげるために、家族ができること

うつ病に寄り添う

家族がうつ病になって病院に行くと、医師から「治療にはご家族の協力が必要です」といわれることがあります。そういわれるとつい「頑張ってサポートしなくては」という気持ちになりがちですが、うつ病治療において家族ができる最大の協力は、「病気を理解し、心を休ませること」と「本人の意思を尊重すること」です。家族がうつ病になった本人と適度な距離感を心がけ、うつ病を理解した上で接することが、何より治療の助けになります。今回は、家族がうつ病を患ったときにしてあげられること、気をつけたいことについてお話します。

うつ病患者の家族の対応

家族が心がけたい、5つの「ない」

うつ病になった患者は、心がくたくたに疲れてしまって「もう何もできない」という状態にあります。そんな心を休ませるために、家族が心がけたい5つの「ない」についてご紹介します。

●原因を探さない、聞き出さない

なぜ家族がうつ病になったのか、どうして今まで言ってくれなかったのか。うつ病だとわかったとき、家族にも思うことはたくさんあります。しかし、そこで原因を探しだそうとしてはいけません。「家族が気づかないことで追い詰めていたのでは」と原因を家族の中に求めたり、「職場や学校が原因かもしれない」と先走って、職場の同僚や学校の先生に手当たり次第聞いて回るのは、何よりもうつ病になった本人を追い詰めてしまいます。うつ病はいくつもの原因が絡み合って発症するものであり、原因を1つに断定することはとてもむずかしいのです。今何ができるかということを考え、家族の中で本人がストレスを感じないようにすることが先決です。

●励まさない

これはとても有名ですので、耳にしたことのある方もいるのではないでしょうか。うつ病になった人に「頑張れ」「すぐ良くなるよ」という励ましの言葉をかけてはいけないというのには、きちんと理由があります。うつ病になった本人は、励まされると「もう十分頑張ったのに、まだ頑張らなくちゃいけないのかな」「周囲がこんなに気遣ってくれるのに、何もできない自分が情けない」と自分を責めてしまい、結果として逆効果になってしまうのです。特にうつ病になったばかりの頃は、むやみに励ますのではなく、本人の意思や感情を受け入れることに徹しましょう。

●無理に外へ連れ出さない

先ほど述べたように、うつ病になった本人の心は疲れきっています。しかし、うつ病を「落ち込んでいる」ととらえ、気分転換をしようと家族が本人を外に連れ出そうとする場合も少なくありません。よかれと思ってしているこの行動、実は避けるべきなのです。疲れた心では、普段楽しめることも楽しむことができません。家族や周囲の気遣いに応えられない自身を責め、自殺を考えるケースもあります。外出は、本人の意思を尊重しましょう。

●大きな決断はさせない

うつ病になったことで周囲にも大きな影響を及ぼし、本人はそれについて自分を責めています。それゆえに退職や離婚など、自分が所属している場所から離れようとする傾向があります。しかし、そういった人生に大きく関わる決断をうつ病治療中にしてはいけません。うつ病を始めとした精神疾患では、悲観的で狭い考え方をすることが多くなっています。本人の気持ちを汲みながら「今は休んで、もう少し良くなったらまた一緒に考えよう」と説明して先送りにしましょう。

付き添い受診で、定期的に主治医と会っておくことも大切

うつ病治療を進めるときには、本人だけでなく家族も定期的に主治医と会っておくといいでしょう。毎回の受診に付き添う必要はありませんが、主治医の話を聞いて、本人にどんなサポートが必要かがわかることもあります。本人の主観だけでなく、家族から見た本人の様子などを伝えるのもいいでしょう。主治医にとって、本人だけでなく家族が感じた変化も、治療の貴重の判断材料となります。

まとめ

ここで挙げた5つの「ない」は、うつ病の方に接する際のごく基本的なガイドラインです。病気の方を支えるときには、つい「~しよう」「~してあげよう」と考えがちですが、ときには何もせず見守ることこそが大きな支えとなります。特にうつ病の方の場合、好意での行いがそのまま受け取られるとは限りません。心を休ませてあげようという善意が、却ってうつ病の方を追い詰める原因にもなりかねないということをご理解ください。その上で、できること、してあげられることを、ご本人や医師と一緒に探していきましょう。

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