ストレスチェックとは違う「職業性ストレス簡易調査票」とは?

うつ病に寄り添う

メンタルヘルスの不調を訴える人が、増えているといわれています。国は、職場でのストレス軽減や健康障害をより早期に発見しようと対策に乗り出しました。

 

その対策の1つが「職業性ストレス簡易調査票」です。心身の健康を保つために、個人がストレスを意識するだけでなく、事業者が従業員のストレスの把握に努めなくてはならない時代になりました。

 

今回は、「職業性ストレス簡易調査票」について、その作られた目的、内容、使用方法について紹介しています。

 

どうして職業性ストレス簡易調査票が作られたのか?

職業ストレス簡易調査票とは、「職場で労働者がどれくらいのストレスを受けているか」を測定するためのテストです。自分自身で質問を読み、回答を選択し、記入していくタイプのテストのため、どんな職場でも簡単に取り入れることができます。

 

日本の職場では、従業員の受けるストレスがどんどん膨らんでいる傾向です。かつての年功序列という給与体系ではなくなり、結果重視になり、終身雇用も派遣社員や契約社員に置き換えられています。

 

結果、過労死の問題を引き起こし、自殺との関連も否定できなくなっています。死にいたらなくても、過度のストレスから健康障害をきたし、長期間にわたって欠勤を余儀なくされていることもあるのです。個人はもちろん、事業者の負担も小さくありません。国は重大な問題として対策に乗り出しているのです。

 

そうした背景から、東京医科大学が国からの委託を受けて既存するストレスの質問票についての見直しを行いました。その結果、完成したのが職業性ストレス簡易調査票です。従業員が感じているストレスを簡単に測ることができ、評価まで行えるようになっています。健康障害にいたることを未然に防いだり、仕事環境の改善に活かしたりすることができるのです。

 

職業性ストレス簡易調査票はどのような内容なのか?

職業性ストレス簡易調査票は57個の質問からできていて、およそ10分程度で回答できるようになっています。回答は「そうだ」「まぁそうだ」「ややちがう」「ちがう」の4段階から選択できます。質問内容は「仕事のストレス要因」「ストレス反応」「修飾要因」の3つに大きく分けられています。

 

仕事のストレス要因についての尺度は9つあり、仕事の量的負担、質的負担、身体的負担、コントロール、技術の活用、対人関係、職場環境、仕事の適性、働きがいとなっています。ストレス反応では心理的ストレスと身体的ストレスとを測ることができます。心理的ストレス反応の尺度は5つあり、活気、イライラ感、疲労感、不安感、抑うつ感です。ネガティブな反応だけでなく、ポジティブな反応も測ることができるようになっています。

 

身体的ストレス反応では、身体の不調についての質問が11問。修飾要因としては、上司や同僚、家族や友人といった周囲からのサポートについての質問や仕事だけでなく、家庭生活での満足度を質問されます。

 

どのように職業性ストレス簡易調査票を使用するのか?

国は各事業者に従業員のメンタルヘルスケアを進めるよう、対策を示していますが、その際、4つのケアを推奨しています。「セルフケア」「ラインによるケア」「事業内産業保健スタッフ等によるケア」「事業外資源によるケア」です。職業性ストレス簡易調査票は、この4つのケアのどのケアでも使用できるという特徴があるのです。

 

まず、セルフケアでは労働者本人が自分自身の回答結果を確認することで、職場でのストレス反応に気づき、意識することができるようになっています。ラインによるケアでは、「職場の監督者が労働者の健康が損なわれている」「損なわれかけている」ことにより早く気がつくことができます。

 

また、よりよい職場環境を作るため従業員の結果をもとに、事業者内の保健スタッフと協力をし、職場環境の改善に取り組むことが可能です。事業内での産業保健スタッフによるケアでは、気になる個人と面談を行うことで直接的にアドバイスを行うことができます。気になる個人のモニターを続けることで、より早い段階で専門家へ紹介したり、個人及び事業者の害を最小限にとどめたりすることが可能です。事業外のケアでも、職業性ストレス簡易調査票の結果を診断や治療に役立てることができるでしょう。

 

職業性ストレス簡易調査票は労働者本人や医療スタッフだけでなく、職場のストレスチェックに関わるすべての人が活用することができるものになっています。各々が適切に、有効に活用することで、労働者の健康障害により早く気がついたり、ストレスの少ない職場作りを行うことに役立てたりできるでしょう。

 

ストレスチェック制度との関連

職業性ストレス簡易調査票はどの職場においても簡単にストレスを測れる検査です。しかし、国によって各事業者に義務付けられたストレスチェックを行ったことにはならないので注意が必要です。ストレスチェック制度では、職業性ストレス簡易調査票だけでなくマニュアルで決められた調査票を用いて実施、集計を行います。検査結果は、産業保健スタッフによって本人に直接通知、指導されますが、本人の許可なくして事業者に結果を報告することはできません。

 

職業性ストレス簡易調査票を配布したり、実施したりしただけではストレスチェックを行ったことにはならないので注意が必要です。違反した場合、罰則が科せられることも考えられます。ストレスチェックはストレスチェックとして、規則にのっとって行わなければいけません。

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

おすすめ記事