「言い逃げ御免!」を前提に、勇気をふりしぼる

プロフィール
T.K 30代 男性
化粧品会社(社員10人)の企画営業2年目でうつ病を発症、1カ月後に退職。心療内科で薬物とカウンセリングで治療を続け、半年で回復。現在はフリーランスとして、自宅で仕事をする日々。
お困りごと
うつ病告白の恥と恐怖

うつ病になったことが恥ずかしく、会社の人に伝えるのが恐い

自分がうつ病であることは薄々わかっていましたが、先生から病名を聞いたときは驚いて、動揺しました。そしてすぐに恥ずかしい気持ちになり、「自分がうつ病を患っていることを人に知られたくない」と思いました。

でも、まずは家族に伝えなければいけない。
幸いなことに家族の理解を得られ、「とにかく会社を退職して休養しよう」という結論になりましたが、たとえ家族であっても、メンタルの病を打ち明けるには勇気が必要でした。
でも人の協力なくしては、休養もできない。

まずは近い存在の家族に対して、勇気を振り絞りました。

Fotolia_41699846_Subscription_XXL 

退職を決意したものの、待っていたのは地獄

家族に打ち明けることすら勇気が必要だったのに・・・・・・。会社の上司と同僚に伝えるには心臓が飛び出しそうなほどの勇気が必要でしたが、選択肢はありませんでした。

当時の僕は体の震え、極度の緊張、異常な汗、対人恐怖症など、オフィスで人と協力して働くにはとても無理があるような症状が表れていたのです。

「うつ病で退職します」。
その旨を会社に伝えることを決意したものの、上司に伝えるまでには時間がかかりました。今日こそは、今日こそは、と思いながらも、定時が過ぎたら逃げ帰るようにオフィスを出る、そんな日が続きました。
しかし仕事の件で、同僚女性と話すだけでも脚が震えてしまう状態のまま仕事を続けることも、もうできそうにありません。

退職の意向を伝えたくても、伝えられない……。
仕事をしながら、同僚には悟られないように上司に声をかけるタイミングを見計らう、この日々は本当に地獄でした。

当時10人ほどの小さな会社では、上司に病名と退職の意向を伝えた翌日には、皆に知られてしまうことは分かっていましたが、それでも最後のプライドのようなものが残っていたのです。でも体もメンタルももはや限界で、何とかしたい、解放されたい、そんな複雑な心境でした。

退職を選んだ理由は「逃げ」だった

僕は最初から「会社を退職する」という選択肢を選びました。

その理由は3つあります。

1つ目は、休職した人が療養して仕事に復帰した場合、再発してしまうケースが多かったので、とにかく今の環境を離れようと考えたからです。

2つ目は、当時10人で何とかまわしていた会社で、休職の意向を伝えたら「じゃあ辞めてくれ!」と言われるような気がしたからです。

3つ目は、休職後に現場復帰するとき、気が引けて緊張することが怖かったからです。

ただでさえ自分のメンタルが弱っているのに、追い打ちをかけられるような言葉を浴びせられたり、態度を見せられることを恐れ、最初から自分に蓋をしました。逃げました。とにかく不安要素からは逃げたのです。

0914

勇気を出して、辛い日常から逃げた自分を褒めてあげたい

言いたい…でも言えない、そんな日々が続きましたが、何とか上司に声をかけて、ある日の就業後に自分がうつ病であることと、会社を退職する旨を伝えました。案の定、心臓が飛び出そうな緊張感で、大量の汗をかき、声を震わせながら話し合いましたが、上司は驚いた様子を見せつつも、どこか察知していた様子で、「分かった」とだけ言いました。

翌日、会社に向かうのは、また地獄でした。

恐らく同僚たちはすでに知っているはず。メールで全員に配信されたかもしれない。そんな恐れを抱きながらオフィスに入ると、同僚たちの目が気になって仕方ありませんでした。

それから1カ月は薬を飲みながらも仕事に向かい、引き継ぎをして、退職しました。

恥をかくのは一時のことですが、あのときの地獄のような日々を鮮明に覚えています。今考えてみれば、「親しい同僚から順番にうつ病であることを伝えて、気持ちを慣らしていけばよかったなぁ」とか、「もっと早くに人に言えたらよかったなぁ」なんて思いますが、当時はそんな余裕もありませんでした。

僕たちは「逃げる」教育を受けていません。

「とにかく立ち向かえ! 負けるな!」と言われ続けて育ったがゆえに、逃げ方を知らないのです。

僕はうつ病になって初めて、自分にプログラムされた「逃げてはいけない病」の存在に気づき、急ぎ足で会社を辞める自分に罪悪感を抱き続けましたし、今でもたまに思い出します。

でもメンタルが消耗しきるほど、身体的に異常をきたすほど、頑張る必要なんか実はどこにもないし、それで取り返しのつかないことになるほうが、よっぽど怖い。体と頭さえ元気であれば、いくらでもやり直せるのです。

今となっては、あのとき、あのタイミングで、勇気を出して逃げた自分を褒めてあげたいです。

「うつ病になった環境から逃げることは決して悪いことではない」。

同じような思いをした人、いましている人に、このことをぜひお知らせしたいと思います。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

おすすめ記事