蒸しタオルで「気持ちいい」を呼び覚ます

プロフィール
N.K 30代・女性
自身はうつ病で5年の通院を経て回復。2年後に産後うつから双極性障害で通院の後、小康状態。また、母が重度のうつ病にかかり、完治に至るまでの間の看護経験あり。
お困りごと
看護中の母の入浴拒否

キレイ好きの母が1週間もお風呂に入らない

母が重度のうつ病になり、入院しました。入院中は不都合もなく、お見舞いで会う母はとても元気そうでした。しかし、退院してからが大変! 全くお風呂に入ってくれなかったのです。
毎日朝から晩までパジャマで過ごし、ベッドで寝ているか、ダイニングの椅子に座っているかのどちらかでした。そして何を聞いても上の空・・・・・・。

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ある日、母から変な匂いが!

うつ病になる以前の母は、娘の私が言うのも変ですが、きちんと整理整頓ができてキレイ好き、料理が得意な素敵な奥様でした。
その母が、家の中はぐちゃぐちゃ、ごはんは作らない、食べるものも着るものも無頓着になり、我が家は様変わりしてしまいました。
それまで母に甘えて家事を何一つしてなかった私は、初めて家事を任される大変さを痛感しました。掃除に洗濯、料理と、慣れない私は仕事との両立でてんてこ舞い!
母が元気だった頃のレベルまで到底及びません。主婦って楽そうだなっと思っていたのをとても反省し、母が今まで何も言わずに全部やってくれていたことに感謝しました。
そう感謝しても母には何も伝わっていないようで、とても悲しくなりました。

ある日、母の横を通ると“ぷーん”と汗臭いような、色々な匂いが混ざって、何とも言えない香りがします。
「お風呂昨日入った?」
「・・・・・・ん」
母もよくわかっていないようだったので、父に詳しく聞くと、1週間も入っていないとのこと。
早速お風呂を沸かし入ってもらおうとすると、「いや」の一点張り。
あんまり強引に誘うのもよくないと思い、温かく濡らしたタオルで顔を拭いてあげました。
はじめは嫌そうだったので、「ごめんね。ちょっとだけ」と言っていると、「キモチイイ」と返事が返ってきたのです!
嬉しくてもう数枚濡れタオルを用意し背中や腕、足などを拭きました。
お尻はさすがに大人の女性だから恥ずかしいと思い、「トイレで拭いて来てね」とタオルを渡しました。するとさっぱりしたのが気に入ったようで、嫌がらず全身をきれいにしてくれたのです。

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ゆっくり、ゆっくり、気持ちいいを重ねて進む

お風呂に入るまではまだまだですが、少し前進したと思います。そして新しいパジャマに着替えてくれました。
「手伝ってもいい?」と聞くと「うん」と小さな声でポツリ。
こうして毎日の着替えだけはしてくれるようになりました。
本当はすぐにでもお風呂に入ってもらいたかったけれど、母の意思を尊重したいから、ゆっくりゆっくり。始めは拭くだけ、数日後には足湯、その数日後には全身をシャワーで流してくれるように。ただ洗髪がなかなか出来ませんでした。
その対策は数日置きに、私か父で水のいらないシャンプーでごしごし洗うことにしました。

「お風呂に入らなくたって、人間大丈夫ですよ」

最初、「なんでお風呂に入ってくれないの? 当たり前のことでしょ」と心の中で母を責めていましたが、当たり前が当たり前じゃなくなるのがうつ病。それを知り、私はだいぶ楽になりました。
「お風呂に入らなくたって、人間大丈夫ですよ」
担当の先生からの言葉です。慣れるまではかなり戸惑いますが、いつか良くなってくれることを望みながらも、そのときの状態の母を受け入れて寄り添う気持ちでいようと思いました。
顔を拭くだけでもいい、そっとタオルを置いておくだけでもいいです。
まずは本人のために出来ることが全然ないと悲観せずに、自分の身の回りのことをしましょう。じっと見ていられると、やりづらいものです。子供でもそうですよね。
口を出すと「今やろうと思ったのに!」と。
それがずっと続くので、進まないと思いがちですが、本人がやりやすい環境を整えて待つといいでよ。

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