ショックに引きこもらず、傷ついた気持ちを正直に伝える

プロフィール
T.K 30代 男性
化粧品会社(社員10人)の企画営業2年目でうつ病を発症、1カ月後に退職。心療内科で薬物とカウンセリングで治療を続け、半年で回復。現在はフリーランスとして、自宅で仕事をする日々。
お困りごと
頭がおかしくなった人扱い

「うつ病=頭がおかしくなった」という偏見に傷つく

僕がうつ病であることを知人や会社に報告したあと、一番辛かったことは「頭がおかしくなった人」扱いをされることでした。ただでさえネガティブな考え方に支配されている心がさらに傷つき、症状が悪化しそうになりましたが、傷ついた言葉を相手にフィードバックして人間関係を整理することで、なんとか解決ができました。

僕はうつ病の診断をされた後、すぐに会社の上司に報告をしました。自分がうつ病であることを人に伝えることは勇気が必要でしたが、休職ではなく、退職することを決断していたので、できるだけ早く伝える必要があると思ったのです。
当時は社員が少ない中小企業で働いていましたので、上司に報告をした翌日には病状が社内に知れ渡ることは覚悟していました。当日の朝はものすごい緊張に震えながら出社したことを覚えています。

そこで真っ先に感じたことは、「頭がおかしくなった人扱いをされている」ということでした。
当時の僕はうつ病に加えて対人恐怖症も併発していたため、いつもおどおどして、緊張で汗をかきながら人と接していたのは事実ですが、“腫れ物に触る”雰囲気は想像を超えていました。

自分から話しかけなければ、誰かと会話することもなく、挨拶すらままならない。仕事の依頼をするにも目を合わせてはもらえず、人から仕事を依頼されることはありませんでした。もちろんうつ病への配慮であることは理解していましたが、言葉では言い表せない孤独感に包まれていきました。
そして退職の挨拶と、後任の紹介で訪れた取引先で「ちょっと頭がおかしくなっちゃったんですね?」と言われたときのショックは今でも鮮明に覚えています。悪気がないことは分かっていましたが、あまりにも奔放なトーンで「頭がおかしい」と言われたときは、背中にびっしょりと汗をかいて、動悸が激しくなりました。

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傷ついた言葉は正直にフィードバックする

いま振り返ってみると、当時は「頭がおかしくなった人」という扱いを受けていたと思います。
周囲にうつ病経験者がいなくて、メンタルを病んだ経験がない人からすれば、うつ病など「甘えている人がなるもの」だと感じてしまうのかもしれません。「努力不足だ」「精神的に甘い」「会社や同僚のせいにするな」などと言ってくる人もいて、うつ症状が悪化することがありました。
そこでうつ病経験者である友人に相談したところ、「うつ症状に苦しむときほど、不快な気持ちになったことは相手にハッキリと伝えなきゃダメだよ。なぜならうつ病を経験したことがない人は、悪気なくひどい言葉をかけ続けるものだから、言わなきゃ分からないよ」と教えてもらいました。これをきっかけにして、不快になったときは勇気を振り絞って相手にフィードバックをするようにしていきました。

「申し訳ありませんが、今の言葉は本当にヒドイと思います」。「人のせいにはしていませんし、自分の努力不足であることは分かっています。でもあなたからそう言われることでさらに辛い気持ちになりました」。
リアルタイムでフィードバックをしなければ、このままずっと「頭がおかしい人」扱いを受けてしまうと思い、勇気を振り絞って伝えることにしたのです。相手に伝えるときは、緊張して汗だくになりましたが、苦しみ続けるよりはマシだと考えました。

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勇気をもって人間関係を整理する

うつ病が完治するまでは、少しでも不快に感じる人間関係を整理しようと思いました。これから会社を辞めて休養するとはいえ、完治して転職するときにはお世話になった方々の手を借りることもあり得るので、関係を断つことには勇気が必要でしたし、心から不安でした。それでもまずはうつ病を完治させる方を取ったのです。

自分に対してひどい言葉を投げかけてきた人の連絡先を削除し、Facebookの友だちも削除しました。携帯電話のメールボックスに残っていたメールもすべて削除して名前を目にしないようにしました。
連絡先を削除し、関係性を断つことに罪悪感を覚える人がいるようですが、僕の経験からすると名前と顔写真を見て嫌な記憶をよみがえらせることは、うつ病の回復に悪影響を及ぼします。これから回復を目指す人は、ぜひ勇気を出して人間関係を整理して欲しいと考えています。

元気になればいくらでもやり直せますし、新しい人間関係を作りなおすことだってできます。うつ病から回復した一年半後に周囲を見渡してみて、そう実感しています。

 

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