「保育園は困っている人のための場所」という言葉に救われる

プロフィール
野坂キコ 30代 女性
うつ病で5年の通院を経て回復。2年後に産後うつから双極性障害で通院の後、小康状態。重度のうつ病から完治に至った母の看護経験あり。
お困りごと
保育園への入園

 

八方塞がりの時に出会った子育て相談の窓口

産後うつで家事や子育て毎日のすべてが辛く、子供と一緒にいなくなりたい……と思っていた時、助けてくれたのは、保育園の存在でした。

子供を産んでしばらくして、産後うつと診断されました。通院していても、すぐにはよくならずどんよりとした毎日。
特に主人の仕事が忙しくほとんど家におらず、赤ちゃんと二人きり。頻繁にこの世からいなくなれたらどんなに楽だろうと心に浮かんでは消しの繰り返し……。

そんな時、検診でもらったパンフレットに保健所の「子育て相談窓口」の文字が目に入りました。
ワラにもすがる思いで、一度電話してみると、今まで溜め込んでいた想いがわーっと流れ出し、泣きながら今の状況を話しました。
「いつでも電話してきてくださいね」という保健師さんの言葉でずいぶん心が楽になりました。

初めは子供が可愛いのに死にたいと思う自分が、恥ずかしくて人に言えませんでした。ですが、電話相談で「大丈夫ですよ」と受け止めてくれたことで安心。そして3度目に家で話を聞いてもらったところ、保育園の一時保育の利用を勧められました。

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一時保育から入園へ至るまでの葛藤

一時保育とは、お住まいの地域によって名称もシステムもさまざまですが、保育園に入園していないお子さんでも、親の出産や病気などの緊急時や親の就業、リフレッシュ、裁判員に任命された時などに利用できるサービスです。

一時保育に預ける初日、当たり前ですが子供が大泣き、私も後ろ髪を引かれる思いで保育園を出ました。罪悪感もありましたが、産後初めての一人の時間を昼寝やゆっくり自分のために使いました。

何度か利用しているうちに、うつ状態も少し落ち着きました。
その後、運よくクラスの定員が空き、途中入園することになったのですが、入園を申し込むまでにとても悩みました。入園の理由が“疾病”だからです。
保育園は働く人のものと思っていたし、病気だと分かっていても、「育児ができない」母親と烙印を押される気分になり落ち込みました。
しかし家族から「もっと体も心もボロボロになった時じゃ遅いよ」と後押しされ、我が子の入園を決めました。

保育園は働く人のもの?

無事入園できたものの、周りは働くお母さんばかりで、「仕事何をしているの?」と聞かれるんじゃないかと怯える毎日。子供の送迎時に会う人と、もあまり話さないようにしていました。でも、ほとんどの親は仕事で忙しいので、あっと言う間に来てあっという間に帰ります。
そして家庭の事情は色々のようで、案外深く聞かれることもなく、何事もなく1年やり過ごしました。

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「保育園は困っている親御さんの味方ですよ」

子供も保育園に慣れ、楽しく通ってくれるようになり、うつ症状も良くなってきた頃。ちょっとした失敗から、私は落ち込み、亡霊のように送り迎えをし、時々保育園の先生に涙ながら話を聞いてもらっていました。

先生に「待機児童もいる状況なのに、精神疾患で入園したと知られると、他の親御さんから嫌がられるのでは?」と胸の内を正直に話してみると、意外な返事が返ってきました。
「みんなが仕事しているわけじゃないですよ! 野坂さんと同じ理由の人もいますし、保育園は困っている親御さんの味方ですよ」と。この言葉で救われました。

数年たった今、病状も安定し、子供も楽しく保育園に通っています。
時間はかかりましたが、ママ友も出来て、心の病で保園に預けていると告白しました。すると「結構うつ病の人いるよね! 何かあったら手伝うよ」と思ってもみない反応が。
本当のことを話しても、疎遠にならず、意外と風当たりが強くないことに驚きました。
偏見も多い病気だとは思いますが、今は患者さんも多くなってきてあまり驚かれないように感じます。ただみんなが好意的かはわからないですよね。

私は思い切って、保健所に電話して、保育園に入園してよかったと思います。
誰かに助けを求めるのは不安ですが、最悪の事態になる前に、どうか役所、保健所、保育園、医師など誰でも一番言いやすい所へSOSを出して欲しいと切に願います。

保育園は色々な事情を抱えた親と子の手助けをしてくれる場所。一時保育などで、少しずつ慣れていくのはどうでしょうか?

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